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つくり手の言葉

気づかないと、気づけない。

ある日の夕食。

メニューは、市販の水餃子でした。

私「これ、えび餃子入ってる?」

妻・子「え、うそ!?」

いやいや、混入騒ぎがあったわけではありません。

実際は、水餃子と一緒に買ってあった別袋のえび餃子を、同じ水餃子だと思って一緒に茹でてしまっただけ。

私が食べるまで、二人ともまったく気づかず、「肉入りの水餃子」として普通に食べていました。

別に、味覚が良いとか悪いとか、そういう話ではありません。

人の認識って、思い込みにかなり左右されるんですよね。

気づかないと、気づけない。

これ、住まいの温熱環境にも似たようなことがあると思っています。

高性能住宅に住むと、温度の「解像度」が上がる

高性能住宅に暮らし始めると、多くの方が温度や湿度の変化に敏感になります。

暮らしの中の1〜2℃程度の温度差に気づく方も、珍しくありません。

では、一般的な気密・断熱性能の住宅ではどうでしょう?

もちろん住宅の仕様や暮らし方、外気温によって違いますが、断熱・気密性能が十分でない住宅では、家の中に5℃、10℃という単位の温度差が生まれることも珍しくありません。

1階より2階が5℃暑い。

暖房の効いたリビングは23℃だけれど、廊下や脱衣室は15℃。

窓から離れた場所では暖かいのに、窓際に行けば一気に寒さを感じる。

古いアルミサッシ+単板ガラスなどでは、冬に室温を十分に暖めていても、外気温などの条件によって窓の室内側表面温度が10℃を下回ることもあります。

つまり、同じ家の中で5〜10℃、場所によってはそれ以上の温度差の中で暮らしていることがあるわけです。

それが毎日の「当たり前」なら、5℃程度の温度差があっても、いちいち「温度が変わった」とは認識しなくなる。

「リビングから廊下に出れば寒いもの」

「2階は暑いもの」

「窓際は寒いもの」

そんなふうに、温度差そのものを「家とはそういうもの」として認識してしまいます。

温度差が小さくなると、小さな変化に気づく

ところが、高気密・高断熱化して家の中の温度差が小さくなると、今までなら埋もれていた1〜2℃程度の変化にも気づくようになります。

普段の室温が大きく揺らがないからこそ、小さな変化が目立つ。

これが、私の言う**「温度の解像度が上がる」**という感覚です。

水餃子だと思って食べていれば、えび餃子が混じっていても気づかない。

……ちょっと違うか(笑)

でも、「何を当たり前として認識しているか」で感じ方が変わるという意味では、似たところがある気がします。

こう書くと、

「それって逆に不便じゃない?」

「気づかない方が幸せなのでは?」

と思う方もいるかもしれません。

私は、むしろ逆だと思っています。

自分の身体で環境の変化に気づけること

暑い、寒いという感覚は、身体からのサインでもあります。

環境の変化に早く気づいて、衣服を変えたり、空調を調整したりできる。

これは暮らしの中では大切なことです。

特に高齢になると、暑さを感じる感覚などが鈍くなることがあります。

真夏の室内で温度がかなり上がっているのに、本人はそれほど暑いと感じず、冷房を使わないまま熱中症になってしまう。

そんな話を聞くことがありますよね。

暑さも寒さも極端になってきた日本。

毎日忙しく暮らす中で、そもそも温度管理の難しい家で、身体をしっかり休めることができるでしょうか。

私は住宅性能を考えるとき、単に

「冬暖かい」

「夏涼しい」

だけではなく、

身体が環境の変化をちゃんと認識できるくらい、安定した室内環境をつくること

も大切だと思っています。

でも、温度の解像度が上がると建築会社は大変です

ここからは、つくる側のお話。

住む人の温度に対する解像度が高くなると、正直、建築会社には求められるものも増えます。

「こっちの部屋だけ少し暑い気がする」

「去年より湿度が高い気がする」

「以前は気にならなかったけれど、ここだけ温度差を感じる」

そんな相談をいただいたとき、

その温度差は設計上の想定範囲なのか。

それとも改善すべき状態なのか。

原因は断熱や気密なのか。

空調機器なのか。

換気なのか。

日射なのか。

あるいは暮らし方なのか。

具体的に判断する必要があります。

一棟一棟プランが違う注文住宅なら、なおさらです。

だから、プランをある程度画一化した方が再現性は高くなるし、建築会社としての運用負荷も小さくなります。

そして、「この家では、どのくらいの室温・湿度で暮らすことを想定していますか?」という話を具体的にしなければ、引き渡した後の評価基準も曖昧なままにできます。

でも、それで本当に「高性能住宅をつくっている」と言えるのか。

私は少し疑問があります。

計算して終わりではなく、暮らしてからを見る

オースタムでは、気密や断熱そのものが原因になるトラブルは、ほとんどありません。

それでも、お引き渡し後に空調や換気の調整をすることはあります。

机上で計算した通りの効率が出ることがほとんどですが、実際に暮らしていただいて、

「ここはもう少し調整した方が良さそうだな」

「換気を少しチューニングさせてもらいたいな」

となることはあります。

家は、一棟一棟違います。

敷地も違う。

間取りも違う。

窓の位置も違う。

住む人数も違う。

生活時間も違う。

注文住宅なら、それが当たり前です。

だから私は、計算通りにつくることと同じくらい、実際に暮らし始めてから、計算と現実を照らし合わせることも大切だと思っています。

建築会社選びで、こんな質問をしてみてください

高性能な注文住宅を建てる会社を検討しているなら、こんな質問をしてみても面白いと思います。

「引き渡し後に、空調や換気のチューニングをすることってありますか?」

その答えには、意外とその会社の考え方が出るかもしれません。

設計時にどこまで温熱環境を想定しているのか。

実際の暮らしをどこまで確認しているのか。

計算と現実に差が出たとき、どう対応しているのか。

そして、引き渡した後の家と、どう付き合っているのか。

もしかすると、

「我が社では完璧に設計していますから、チューニングなんてあり得ません!」

という会社もあるかもしれません。

でも、一棟一棟違う敷地に、一棟一棟違う家をつくり、一組一組違う家族が暮らす注文住宅。

本当に、そこまで完璧だと思いますか?

私はむしろ、計算して、つくって、実際の暮らしを確認して、必要なら調整する。

そこまで含めて、高性能な注文住宅をつくる仕事だと思っています。

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栃木県・宇都宮市を中心に、
高気密・高断熱と空調・換気まで含めた住まいづくりを行っています。

株式会社オースタム

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