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つくり手の言葉

材料の特性を考える。

一気にコートがいらなくなりました。

日中暖かいですね。

とは言え、宇都宮は一日での寒暖差が非常に大きい地域、高性能住宅以外にお住まいの方は、日没後の冷えにご注意を。

さて今日は、素材のお話。

年々、新しい商品が生まれては消えてゆく、建築業界。

そんな中、長く使われている材料が新たな使い方に目覚めたんだけど、どう扱ったものか?ってヤツの話。

皆さんは、スレートという素材をご存じでしょうか?

「あぁ、あの屋根で使われてるやつ!」と思った方、正解です。

実はこのスレート、今は製品の名前っぽくなっていますが、そもそもは天然ものです。

もともとスレートは、粘板岩という薄く割れやすい岩を加工して屋根材にしたもの。

調べたら、スレートって古ノルド語で「滑らかに割れる石」って意味らしい。

今は天然スレートとも呼ばれていますが、古代ヨーロッパ時代から屋根材に使われている(た)自然素材です。

もちろん、今や非常に高価で施工に手間がかかりまくるため、ヨーロッパの歴史的建造物とか超高級住宅でしかお目に掛かれない代物。

これが、戦後復興期にセメントを利用した大量生産のスレートっぽい感じの類似品が開発され、それが今「化粧スレート」と呼ばれています。

製品名として有名なのは、「コロニアル」「カラーベスト」ですね。

この化粧スレート、主に屋根材として利用されていますが、原料がセメントのため、塗装によるコーティングが無くなると、水を吸いやすくなります。

住宅地で屋根に苔が生えている光景を見ることができると思いますが、アレです。

水を含みやすなると、雨漏りの原因になったり、凍害で割れたりと、リスクが大きくなっていくので、塗装メンテナンスを繰り返していきます。

さて、この化粧スレート、セメントなので白華というムラが発生します。

「塗装しなければ、風合いが楽しめる。じゃ、それ売りにしましょう!」

という商品が、KMEW(旧クボタ松下電工外装株式会社)から発売されました。

それが「SOLIDO」。

これまで内装用だったものが、この度外装用が発売に。

見た目がとっても素敵なので、展示会で根掘り葉掘り聞いてみました。

やはり気になるのがメンテナンス。

どんなに素敵な材料でも、メンテがムズカシイとなかなかご提案できないものです。

さてこの「SOLIDO」は、セメントの自然な経年変化を楽しむ製品です。

そもそも、メンテナンスってどうすればいいのでしょうか?

日常的には、水洗いが中心で、汚れたら拭いてねって感じ。

では先々はと言うと、

「10年以降に部分補修、若しくは美観上必要に応じて、塗装してください。」

※建築物の地域、環境や使用条件によって劣化の進行状況が異なりますので、目安としてご活用ください。メンテナンス時期および内容を保証するものではありません。

とのこと。

メーカーの製品としては、例がない開き直りっぷり!

しかも、指定塗料はカラーベスト用塗料で、

「SOLIDOの自然な風合いは無くなりますので、ご了承ください。」

の注意書きが・・・なかなか、思い切りがイイですよね。

環境や使用状況によって、メンテナンス時期を検討する外装材なんていくらでもあります。

自然の風合いってワードからも、木製サイディングなんかも同じ土俵に立ちそうなイメージ。

でも、木の場合、風合いを残しながらの塗装メンテは可能だし、何なら交換も可能です。

逆に製品の場合、メンテで一部交換したい場合に、その製品自体が生き残っているかどうか問題が発生します。

更に、SOLIDOのようなスタイリッシュな素材の場合、そもそも軒を出して風雨が直接当たることを制限することよりも、より箱型に美観優先でプランしたくなってしまいそうな・・・

ホント、素材選びってムズカシイですね。

なので、使うとしたら内装用か、外装なら雨風当たりにくいアクセント壁として、大谷石みたいな使い方ですかね。

全面は怖いかな。

もちろん、店舗などであれば、思い切って使っちゃうかもですが。

オモシロイ材料は、次々と出てきます。

新しい製品をお客様から教わることも、たまにあります。

特性をちゃんととらえて、あとはどう調理するか。

楽しい家づくりしたいですよねぇ。

hiroyuki

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