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つくり手の言葉

前准教授の言うことにゃ。

昨日は、リフォーム産業フェア2025のために東京ビッグサイトへ行ってまりました。

まだまだ、暑いですね。

すれ違う人たちが汗ひとつかかずに、平然とスーツを着ている姿を見ると、東京の人ってスゴイなぁとシミジミ感じます。

普段から展示会に行く目的は、もちろん普段見られない製品を直に見てくるのはもちろんのこと、現地にいる営業さん達と話すこと。

営業さん達の話をただ聞くのではなく、アレコレ変な質問をしまくっていると、思ってもいないような情報の収穫があったりします。

その情報が、その製品の、場合によってはそのカテゴリーの採用、不採用を決めたりとっても大事。

カタログなんかに載らない言葉を探しに行っています。

    

さて、今回の目玉はもう一つ。

それが、東京大学 工学系研究科 建築学専攻 准教授の前真之先生のセミナー。

前先生と言えば、日本においての住宅の居住環境の改善や脱炭素についての研究者筆頭と言っても過言ではないお方。

著書も「エコハウスのウソ」シリーズがあり、今年7月に最新版「エコハウスのウソ2030」が出版されました。

我々のような住宅実務者は必読であると同時に、とても読みやすい著書なので、これから快適な住宅を取得しようと考えている方には、是非手に取っていただきたい本です。

そんな、前先生のセミナー、今回は日本気密測定推進協会さんとのコラボ。

という事で、住宅の気密についてのお話が中心。

  

まず話題に上がったのは、夏型結露について。

夏型結露とは、夏の高温多湿な外気が、冷房で冷えた室内側の壁や床に触れると、空気中の水分が急に冷やされて水滴になる現象。

壁の中や床下など見えないところで結露を起こし、建物を傷めます。

近年、これを対策するための透湿シートや壁の構成などが出てきていますが、前先生曰く、

「そもそも気密がちゃんと取れてない事で、生外気(高湿度の外気)が直接侵入しているケースが多い。」との事。

ひと昔前は、冬の寒さの侵入を防ぐ目的で気密性を上げていたけれど、今や、夏の冷房のためにも、しっかりとした気密施工が必要になっています。

  

加えて、近年、性能競争になっている事に危惧。

「気密性能はあるに越したことはないが、C値0.01とか極端に高くする必要はない。」とも。

少なくとも、気密初心者であれば、1.0を切る事を初期目標とし、0.5以下まで持っていければ必要十分的な事を仰っていました。

また、「現場でちゃんと施工できているかが重要で、それを確認するには全棟気密測定しかない。」とも。

前の物件でどれだけ超高気密な施工をしたとしても、次の物件が気密が保たれている保証はないので、とにかく一棟一棟測定するしかないのです。

現在、全棟気密測定を行っている弊社も、実のところ、気密測定を行っていない時期がありました。まさに同じで、「どの物件測定しても気密が取れている、じゃコストかけなくていいか・・」と

でも、クライアント様から「性能は疑ってないけど、高いからこそ、自宅の性能ちゃんと知っておきたい。」というお声を頂き、全棟気密測定を再開した経緯があります。

  

セミナーで前先生が最後に語ったのは、

「第三者気密測定」

気密測定において、重要なのは、ルールに則って測定が行われること。

だからこそ、測定にあたっては、自社ではなく第三者によって公平性を保つことが必要との事。

「全棟第三者気密測定」

正直、まだまだ高価な測定機械を購入して、それをペイできるだけの環境がある会社さんって多くない状況です。

もっと、気密測定が一般化して、インフラが整う必要があります。

気密性能の良し悪しは、暑さ寒さだけでなく、換気効率、建物の寿命、建物の隅々に影響を及ぼします。

居住環境を大事にしている建築会社は、既にあたり前に気密測定を行っています。

もっと気密に対しての認知度が高くなって、果ては義務化まで行けると、良いのですけれど・・・

  

とってもタメになるセミナーでした。

ちなみに、前先生の「エコハウスのウソ2023」ですが、今回のセミナーで1冊プレゼントとして頂いてしまい、自前のものと在庫が2冊となりました。

1冊は貸し出し用にしようと思います。

読んでみたい方は、お声がけくださいね。

エコハウスのウソ2023 amazon 販売ページ

  

展示会でも、困っているオーナー様にすぐ情報お伝えしてしまうような良い出会いが複数あって、とっても身になった出張でしたとさ。

  

hiroyuki

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