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つくり手の言葉
OUSTAM.FES.2025も、いよいよ一週間を切り、気持ちばかりが焦っている今日この頃です。
お越しになる皆様、お会いできることを楽しみにしております。
当日は、お酒を飲まれる方もいらっしゃるかもしれませんが、くれぐれも飲酒運転はダメゼッタイ。
さて、今日は住宅建築において、とっても大事な基礎について。
木造住宅と言っても、全部が木でできているわけではありません。
ご存じの通り、木造の建物の地面付近はコンクリートでできています。
基礎って、何なのでしょうか。
基礎とは、建物構造体からの荷重を地盤に伝える役割を担っています。
その上で、建物の沈下、地震時の揺れ、地面からの湿気の侵入、シロアリの侵入リスクなどを防いでくれます。
そもそもなんでコンクリートなのかと言えば、木を直接地面に置いておけないから。
豊かな森林資源のある日本という国土において、木造で住居を作るというのは、もっともな選択です。
しかし、木を直接地面に置いて住居を組むと、湿気による腐食やシロアリによる食害という問題が発生します。
そのため、木材を石の上において、直接水を吸わないようにするわけです。
これにより、建築物の寿命が一気に延びる訳です。
あらためて調べてみたら、構造柱が乗る石を「礎石」、床を支える束が乗る石を「束石」という違いがあるのですね。
神社やお寺など、床下を覗いてみると、石の上に柱が乗ってたります。

築50年を超える住宅でも、束石は見られますね。
ただ、住宅建築において、石では均一な施工も、緊結できません。
そのため1980年代以降の木造住宅では、基礎をコンクリートで一体的に構成することで、構造的に地震や長期変形に強く、床下空間の換気・点検・メンテナンス性も向上しました。
住宅をより長期的により安全にという考えのもとコンクリートを使用することで、均一な施工が可能となりました。
では、この基礎コンクリート、誰が設計しているのでしょうか。
建物形状、荷重の大きさ、どこに力がかかるか、構造材、地盤などの条件を含めて「許容応力度計算」などの構造計算を用いて、基礎の幅、厚み、鉄筋配置、コンクリートの強度、緊結位置などを決めていきます。
もう一度書きますね。
「荷重の大きさ」、「どこに力がかかるか」・・・構造計算を・・・
そもそも、建物側の構造計算してなきゃ、計算できんのです。
設計事務所さんの物件は当たり前として、弊社も含め構造計算を行っている工務店も徐々に増えてきました。
だから、計算の上、自社で基礎の設計を行っている建築会社もあります。
設計事務所に外注している建築会社もあるかもしれません。
しかし、建物の構造計算は義務ではありません。
そのため、図面を使いまわしているケースも・・・
近年「床下エアコン」の普及とともに、基礎立ち上がりを極端に減らす方向が見られます。
「基礎の立ち上がりを少なくすれば風が行き渡る」という発想から、安易に立ち上がりを減らすのです。
必要な立ち上がりを減らすという事は、補強する必要がありますよね。
その立ち上がりがどう必要なのかは、構造計算していないとわかりません。
どの程度の補強が必要かもわかりませんよね。
果たして、安全な基礎と言えるのでしょうか。
という事で、家づくりにあたり、建築会社に聞く質問がひとつ増えましたね。
「基礎って誰が設計しているんですか?」
「構造計算をしていない」、にもかかわらず、「床下エアコン」を提案している建築会社であれば必須項目となります。
上部木構造だけが家ではありません。
基礎まで含めて、ひとつの住宅です
永く快適で安心な住まいをつくるために、知っておいて損はありません。
hiroyuki