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つくり手の言葉
まだ2月だというのに、春のような陽気の日もあれば、雪が舞う日もある。今年の冬は忙しいですね。
それでも自宅ではTシャツ・短パンで過ごせています。住環境性能にきちんとこだわったから。もちろん、それに合わせた間取り設計も含めて。
さて今日は、「高気密住宅は息苦しい」と言われる理由についてです。
先日、お客様から耳を疑う言葉を聞きました。
「デザイン系のハウスメーカーの営業さんに、高気密住宅は息苦しくなるからやめた方がいいと言われました。」
……今って、令和ですよね?
20年前によく言われたディスり文句です。
まだ使っている営業さんがいるなんて、正直驚きました。
でも、なぜそんなことを言うのか。
少し考えてみると、なんとなく答えに思い当たりました。
それは「気密」と「換気」の関係にあるのだと思います。
住宅の気密性能が高ければ高いほど、漏気(空気の勝手な出入り)は少なくなります。
つまり、知らないところで勝手に換気してくれないということです。
それを前提に、私たち高性能住宅のつくり手は、室内の換気量をコントロールします。
無駄な冷暖房エネルギーを抑え、エコロジーでエコノミーな暮らしをつくるためです。
しかし、換気に対する知識が弱いと、計画換気そのものが信用できなくなります。
そうなると、
「漏れてくれた方が安心」
という発想になるのも、ある意味では理解できます。
実は、換気が機能していない高気密住宅は本当に地獄です。
以前、自宅の24時間換気のフィルター掃除をした後、
復旧を忘れてしまったことがありました。
ほんの数日で、宅内のCO₂濃度は4000ppmを超えました。
そのときの詳しい経緯は
こちらのブログで書いています。
▶︎『高気密住宅の換気がいかに大事か!?』
そりゃそうです。隙間がないのですから。
そこまで数値が上がると、人はちゃんと気づきます。
「あ、空気が淀んでいるな」と。
個人的には、とても良い経験でしたけどね。
換気にリスクを抱えているのであれば、気密を高める施工をしても意味がありません。
……と書いていて、少し矛盾を感じました。
そもそも、気密性を高める施工ができなければ、換気の重要性やリスクに気づくこともできないのですから。
卵が先か、鶏が先か。
もしかすると、どちらにも本気で向き合っていないだけの建築会社なのかもしれません。
「今どき、どこで建てても住宅性能は同じでしょ?」
そう思われる方もいるかもしれません。
しかし、住宅性能に多くの方が目を向けるようになった今だからこそ、そこに大きな差が生まれています。
机上の数値だけではなく、施工が伴っているかどうか。
断熱も、空調も、同じです。
特に気密性能は、机上で計算することができません。
気密測定を行って、はじめて「C値」という実測値が出ます。
性能にこだわるなら、その数値、確認したいですよね。
では、なぜ測定したくない作り手が多いのか。
それは、ご想像にお任せします。
オースタムは、高気密高断熱という数値だけを追いかけているわけではありません。
気密を高めるのは、換気を正しく機能させるため。
断熱を高めるのは、空気を穏やかに保つため。
設計(構造・温熱計算)から施工まで一貫して行うのは、机上の性能を“暮らしの快適さ”に変換するためです。
家は作品でも商品でもなく、心身を休めるためのシェルター。
数値と施工の両立こそが、本当の性能だと私たちは考えています。
株式会社オースタム
代表取締役 鈴木 博之