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つくり手の言葉
暑さが尋常ではないので、ペルチェベストを購入してみました。
ペルチェベストとは、ナイロン製のベストに5カ所ほど冷却デバイスが付いていて、それがキンキンに冷えることで、身体との接触面を直接冷やしてくれるものです。
口コミでは、「それほど涼しいとは感じない」という評価も多いのですが、先日の気温39℃の建て方を、ファン付きベストだけで乗り切った身からすると、かなり効果を感じました。
涼しいというよりも、身体に熱がこもりにくい。
その分、疲労を軽減してくれる装備なのだと思います。
弱点は、バッテリーがあまり長持ちしないこと。
まだまだ厳しい暑さが続きそうです。
皆さんも、熱中症対策はしっかりしてくださいね。
さて、今日は住宅のプランニングについてのお話です。
家づくりの相談先には、工務店、ハウスメーカー、設計事務所など、さまざまな選択肢があります。
では、家を建てるなら、プランニングが上手な相手に頼みたいと思いますか?
多くの方が「YES」と答えるでしょう。
でも、一部には、
「そこは、あまり気にしない」
という方もいらっしゃいます。
なぜでしょう。
実は、自分で間取りをつくり上げていて、その通りに建ててほしいという方もいらっしゃいます。
無料の設計アプリなどを使って、コツコツと作成したプラン。
そこまで時間をかけて考えた間取りですから、思いもひとしおだと思います。
もちろん、皆さんも自分で間取りをつくりましょう、と言っているわけではありません。
多くの方にとって、そこまでの時間を確保するのは難しいものです。
何より、法規や構造、断熱、空調、実際の施工方法まで考えながら間取りをまとめるのは、簡単なことではありません。
だからこそ、プランニングが上手なパートナーを見つけたいと思うはずです。
自分で考え抜いた間取りがあり、できる限りそのまま建ててほしい。
そんな方が必要としているのは、提案力の高い設計者ではありません。
必要なのは、自分の考えを否定せず、図面を建築可能な状態に整えてくれる相手です。
極端に言えば、
「余計な提案はいらない。法規や構造上の問題だけ直して、あとはこの通りにつくってほしい」
という家づくりです。
それなら、設計者が新しいアイデアを持ち込むことは、むしろ邪魔になるかもしれません。
規格や社内ルールが明確なハウスメーカーでも、考えた間取りがその範囲に収まっていれば、要望に沿って進めてもらえることがあります。
工務店でも、施主様のプランをベースに、法規や構造上の調整だけを加えて建ててくれる会社はあります。
もちろん、断熱や空調、採光、動線、メンテナンス性などに問題があれば、プロとして指摘してもらう必要はあります。
ただし、最終的な判断は自分でしたい。
設計者には、提案者ではなく、実現するための技術者であってほしい。
そのような方にとっては、自分の間取りを尊重してくれる会社の方が相性はよいでしょう。
自分で決められる分、設計の自由度と納得感は高くなります。
一方で、暮らしにくさや見落としが残った場合も、「希望どおりにつくった結果」として自分で引き受けることになります。
思い通りにつくる家づくりには、自由と一緒に責任もついてくるのです。
一方、自分たちでは思いつかなかった住まいを提案してほしい方もいます。
そんな方に必要なのは、要望をそのまま図面にする人ではありません。
言われた通りに描くだけなら、設計というより作図です。
「LDKは20帖ほしい」と言われたときに、そのまま20帖にするのではなく、
「なぜ、その広さが必要なのか」
「本当に欲しいのは、面積なのか、広く感じられる空間なのか」
そこまで考えて、別の答えを提案してくれる設計者が必要です。
そうした家づくりを望むなら、設計提案を重視している設計事務所や工務店が合っているかもしれません。
ただし、会社の看板だけでは判断できません。
設計事務所だから提案が上手いとも、設計を自社で行う工務店だから安心とも限りません。
実際に誰が設計するのか。
要望の奥にある暮らし方まで聞いてくれるのか。
構造や温熱環境、空調、施工まで含めて提案できるのか。
そして、なぜその形になったのかを説明できるのか。
想像以上の家をつくりたいなら、完成事例の見た目だけでなく、そうした設計の進め方まで確認する必要があります。
弊社でも、施主様からよく言っていただける言葉があります。
「想像していたより、素敵な住まいになりました」
この言葉をいただけるのは、設計者として、とてもうれしいことです。
設計では、ご家族がすでに言葉にできている要望だけを並べればよいわけではありません。
まだ言葉になっていない、潜在的な要望もあります。
普段の暮らし方。
今、困っていること。
これからやってみたいこと。
そして、土地の形や周辺環境、光の入り方や風の流れ。
そうした条件を一つずつ読み解きながら、これからの暮らしを形にしていきます。
その中で、ご家族が思ってもいなかった方向から提案される。
そんな家づくりも、面白いものです。
提案を楽しみたい方は、要望を伝えるときに、最初から数字で決めすぎない方がよいかもしれません。
例えば、
「LDKは○帖」
「寝室は○帖」
「子ども部屋は○帖」
「クローゼットは○帖」
「トイレは○帖」
と、すべてを数字で指定してしまうと、設計者が提案できる余地は少しずつ小さくなっていきます。
もちろん、必要な広さや予算の上限を伝えることは大切です。
ただ、プランニングが上手なパートナーに思いを伝えるなら、数字より先に、暮らしについて話してみてください。
私たちは、普段こんな暮らしをしている。
今は、こんなことに困っている。
だから、これからはこう変えていきたい。
子どもが生まれたら、こんな育て方をしたい。
家族で、こんな趣味を持てたらいい。
好きなものはこれ。
好きな色や映画、音楽はこれ。
逆に、こんなことは苦手。
そして、
「こんな暮らしができそうだと思ったから、あなたに相談したんです」
そこまで伝えてもらえたら、きっと設計者の脳内はスパークするはずです。
SNSで家づくりの情報を見ていると、ついつい事細かに要望を伝えたくなる気持ちも分かります。
失敗したくないんですよね。
ただ、細かな指定があまりにも多くなっている様子を見ると、建築会社との信頼関係が十分につくれていないのでは、と感じることもあります。
信頼しきれないから、自分ですべてを決めて、細かく伝えるしかない。
そうなってしまうと、施主様の負担は大きくなりますし、設計者から想定外の提案が出てくる余地も小さくなります。
短期的には、自分で細かく指定した方が安心できるかもしれません。
一方、長期的には、法規・構造・温熱環境・空調・施工・メンテナンスまで理解している設計者の視点を取り入れた方が、暮らしやすさにつながることもあります。
だからこそ、価格や営業担当者の対応だけでなく、実際に設計を担当する人を確認することが大切です。
思い通りの家をつくりたいのか。
それとも、自分たちの想像を超える家をつくりたいのか。
どちらが正しいという話ではありません。
自分たちが求めている家づくりの進め方と、建築会社の得意な進め方が合っているかどうかが重要です。
提案を楽しめる家づくりは、面白いですよ。
建築会社を選ぶときには、ぜひ聞いてみてください。
「私たちに、どんな提案をしてくれますか?」
そして、設計を担当する人が決まっているのであれば、その人とのフィーリングも確認してみてください。
家づくりでは、完成したプランだけでなく、そこへたどり着くまでの対話も大切なのです。
※この記事は、オースタムの家づくりに対する考え方の一部をご紹介したものです。
栃木県・宇都宮市を中心に、高断熱・高気密住宅をご提案する株式会社オースタムでは、設計・構造計算・温熱計算から施工まで、一貫して家づくりに取り組んでいます。
家の広さを決める前に、まずは「どんな暮らしがしたいか」をお聞かせください。
株式会社オースタム
代表取締役 鈴木 博之