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つくり手の言葉

「シリカゲル、危険では?」という質問。

家づくりの知識を深めるって、とっても難しいですよね。

これから家づくりをされる方は、どのような暮らしを求めるかによって、たくさんの基礎知識が必要になります。

性能を重視するのであれば、UA値やC値など、断熱や気密、そして換気や空調についてのキーワードを知る必要があります。

設備重視の方であれば、水まわりメーカーごとの特徴や、給湯、照明など。

イメージ重視であれば、プランニングや色合わせなど、調べに調べられているかと思います。

価値観を共有できる建築会社と出会ってしまえば、ある程度お任せしつつ、提案してもらうのが、あまり気を張らずにできる家づくりのコツです。

でも、最初はそうもいかないでしょう。

情報があふれる世の中。

正しい情報、不確かな情報、思い込みにつながる情報など、さまざまです。

それらの整合性を、皆さん自身で取っていくのが、とても難しい時代ですよね。

「シリカゲルって、身体に悪いですよね?」

先日、ご見学にいらっしゃったお客様から、質問をいただきました。

「シリカゲルって、身体に悪いですよね? 発がん性がありますよね?」

そう、弊社ではシリカゲルを使って、調湿や空気質を改善する方法があります。

そのご案内をした際の質問です。

まず、回答すると、

シリカゲルは安全性が高く、発がん性があるとは認められていません。

そのため、食品添加物としても、「湿気で固まるのを防ぐ」「サラサラにして扱いやすくする」といった目的で、さまざまな食品に利用されています。

例えば、

味塩コショウや粉末だし、コンソメの素。

インスタントコーヒーや粉末味噌汁、プロテインパウダー。

ビタミン剤の錠剤やカプセルなどにも使われています。

製品によって使用されている添加物は異なりますが、「二酸化ケイ素」として原材料表示に記載されていることがあります。

現実に、皆さんが口にしている身近な素材でもあるんです。

もちろん、食品添加物として使用できる品質や用途、使用量には、厳しいルールが設けられています。

その基準に従って使用されているものについて、安全性が確認されています。

では、どこで勘違いしたのでしょうか

それでは、お客様はなぜ、

「シリカゲルには発がん性がある」

と思われたのでしょうか。

シリカゲルの主成分は「シリカ」。

日本語に直すと、二酸化ケイ素となります。

実は、この二酸化ケイ素には、構造の異なるものがあるんです。

ひとつは「非晶質シリカ」。

原子の配列に、規則性がない状態のシリカです。

シリカゲルやガラスなどが、これに当たります。

そして、もうひとつが「結晶質シリカ」。

原子が規則的に並んだ状態のシリカです。

石英や水晶などが、こちらに当たります。

このうち、細かな粉じんとして大量に、または長期間吸い込むことで健康への影響が問題になるのが、結晶質シリカです。

IARC・国際がん研究機関では、吸入される結晶質シリカの粉じんを、グループ1、つまり「ヒトに対して発がん性がある」と分類しています。

もちろん、石英の原石を近くで見たり、水晶のブレスレットを身につけたりしても、それだけで健康に影響が出るという話ではありません。

あくまでも問題になるのは、非常に細かな粉じんを吸い込んだ場合です。

珪藻土は、製造方法にも注意が必要

さらに注意が必要なのが、珪藻土です。

珪藻土は、珪藻という植物性プランクトンの殻が堆積してできたもの。

その主成分も、シリカです。

珪藻土は、製品をつくる過程で高温により焼き固められることがあります。

これを「焼成」といいます。

焼成の温度や条件によっては、中に含まれるシリカの一部が変化し、クリストバライトなどの結晶質シリカが生じることがあります。

伝統的な七輪や耐火レンガ、また、硬いタイプの珪藻土バスマットやコースターなどには、焼成された珪藻土を使用しているものがあります。

だからといって、普通に使っているだけで、すぐに危険ということではありません。

注意したいのは、処分や加工をするときです。

細かく砕いたり、切断したり、やすりで削ったりすると、粉じんが発生する可能性があります。

製品の成分や製造方法が分からない場合には、自分で細かく砕いたりせず、商品の注意書きや自治体の処分方法に従った方がよいでしょう。

同じ「シリカ」でも、同じではない

と、少し踏み込んだ内容になりました。

実は同じシリカでも、その構造や状態によって、安全性の評価や取り扱い上の注意が異なるんです。

今回のお客様は、

「シリカゲルの主成分はシリカである」

という情報と、

「結晶質シリカの粉じんには発がん性がある」

という情報が、ごっちゃになってしまったのだと思います。

その結果、

「シリカゲルには発がん性がある」

という理解につながってしまったのでしょう。

こんなことまで調べているのが、すごいですけどね。

ただ、一つひとつの情報が間違っていなくても、その間にある条件が抜けると、まったく違う結論になってしまうことがあります。

短い情報ほど、前提が抜けやすい

ついつい画面越しに見ると、信頼できるように感じてしまう情報でも、真偽が不確かなものは本当にたくさんあります。

特に近年、情報がショート動画などで次々に流されるようになり、その傾向は顕著になっているように思います。

短く分かりやすく伝えるためには、前提条件や細かな違いが削られます。

その結果、本来は、

「どのような状態で、どのくらい、どのように接触したのか」

によって変わる話が、

「危険か、安全か」

という、単純な二択になってしまいます。

でも、家づくりで使われる建材や設備の多くは、そんなに単純ではありません。

同じ名前の素材でも、成分や製造方法、使用する場所、使い方によって判断が変わることがあります。

画面の向こうの有名人より、目の前のプロフェッショナルに、ぜひいろいろ聞いてください。

その情報が正しいかどうかだけでなく、自分たちの家に当てはまるのかどうか。

そこまで整理してもらうことが、情報に振り回されない家づくりにつながると思います。


9月12日(土)・13日(日)に、茨城県古河市にて、高性能新築住宅の体感構造見学会を開催いたします。

完成してからでは見えなくなる、断熱・気密・換気・空気循環について、実際の建物を見ながらご説明します。

まだ少し空きがありますので、ぜひご予約ください。

非晶質シリカを使った部材も、現地で見られますよ♡


宇都宮の高断熱・高気密住宅ならオースタムがいいよね。と言ってもらえるように、引き続き磨いていきたいと思います。

株式会社オースタムは、栃木県宇都宮市を中心に、高断熱・高気密住宅を手がける一級建築士事務所・工務店です。

断熱性能や気密性能の数値だけでなく、湿度管理や空気の循環まで考え、設計・計算・施工を一貫して行っています。

株式会社オースタム
鈴木 博之

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