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つくり手の言葉
先日、ご年配の方と家づくり談義をしていた時の事。
「やっぱり柱は4寸必要だよね。地震につよいもの。自宅は築40年だけどビクともしないよ!!」
という、とても良い話のネタを頂きました。
ではまず「寸」の説明から。
尺貫法の1寸をメートル法に直すと、30.3㎜
4寸 = 121.2㎜
4寸柱と言うと、12㎝角 の柱を意味します。
現在の木造住宅の多くは、3寸5分柱(3.5寸柱) = 10.5cm角 の柱が使われています。
さて、あなたならどちらの柱を使って家を建てますか?
って、いきなりな質問の仕方でしたね。
これだけ聞かれると、「シンプルに太い方が」という4寸勢と、「こんな質問するからには逆張りだ」という3.5寸勢に分かれると思います。
4寸柱と3.5寸柱、どちらが強いか?と聞かれれば、もちろん4寸柱です。
だって、太いですから、その分座屈に抵抗します。
まったく同じ間取り、構造で柱だけを変えるなら、4寸の方が強いと言えるでしょう。
じゃ、4寸の方がイイのかな?
では質問を変えます。
「すべての柱に4寸柱を使用した建築基準法レベルの耐震性の家」と、
「すべての柱が3.5寸柱ですが、構造計算を行った耐震等級3の家」では、
どちらが耐震性が高いでしょうか?
すべての方が、後者と答えるのは明らかですよね。
建築基準法レベルというのは、耐震等級1ということ。
耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の地震力に耐えられるだけの性能・耐震強度水準です。
間違いなく後者の方が安全性が高いと言えます。
つまり、柱の太さだけで耐震性の判断はつかないという事です。
普通に2階建ての木造住宅であれば、耐震等級3だとしても、すべて4寸柱が必要なケースって稀です。
だからこそ、構造計算をしている建築会社で「オール4寸柱」をアピールしているケースは皆無です。
なぜなら、計算して4寸の必要なければ、又は必要がないように設計すれば、その分コストが下がるから。
無理に4寸柱にすることで、調達コストをかけたり、室内空間を小さくする必要ないですもんね。
もちろん、一部構造上の理由や、真壁(柱を見せる内装仕上げ方法)の納まり上の理由など、4寸柱が必要な場合もあるので、4寸柱がいらないという意味ではありません。
でも結局のところ重要なのは、「無理のない設計」「計算による確認」なんですよね。
居住環境で同じことを考えてみると、オール4寸アピールって、
「エアコンは容量デカい方がイイよね。だってガンガンに温風・冷風出るから!」
って、言ってるのと一緒です。
気密・断熱・空気循環がちゃんと設計されていれば、まったくもってデカい容量なんて不要になります。
これも、最終的には「無理のない設計」「計算による確認」が大事になります。
構造ってわかりにくいので、昔ながらの考え方でいっちゃうと、「大きいは正義!」的な大雑把な考えをしがちです。
特に焦りながら家づくりは、こんな罠に陥りがちです。
じっくりと時間をかけて、腹落ちできる説明を受けましょう。
日本は地震が頻繁に起こる国です。
耐震、大事ですよね。
hiroyuki