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つくり手の言葉
秋・・・なのか?
朝晩の気温が下がってきましたが、日中の気温が25℃越え。
10月下旬になってもまだ日焼けするなんて、ヤバいですね。
今年から秋が無くなってしまうのでしょうか。
と言っても、オースタムから北に20分走って、日光市(旧今市)のオーナー様宅にメンテナンスで伺ったら、朝の気温5℃だったそうで、ちゃんと季節は変わったいるようです。
まあ、高気密高断熱住宅に暮らされている方であれば、暖房を入れるには、まだ微妙に早い中間期。
冬支度に向けて、エアコンのフィルター清掃しましょうね。
さて、本日の話題は、「地盤調査」。
今や、住宅建築にあたって、地盤調査は当たり前になりましたね。
というのも、阪神淡路大震災によって、住宅に大きな被害があったことから、2000年に建築基準法が改正されるにあたり、地盤調査は義務化されました。
当時は、「何で義務化なんだ!施主の負担が増えるだろ!!」って声も結構見かけました。
だから、地盤調査が何のために行われるのかって事をちゃんと考える必要がありました。
地盤調査は、施主が建てた住まいが、長く安心して暮らせるための土台づくりを目的としています。
見えない地面の下がどうなっていて、長期間、建物を乗せた時に傾かない根拠を得るための試験です。
建築業者さんの中には、施主の費用負担を小さくするために、改良判定が出にくい調査会社が選んだり、改良判定が出た調査結果に納得いかず別の調査会社に相談したりと、現在でも地盤改良をしない方向にもっていきたがる事が多いです。
でも、地盤調査は安全・安心のための調査なので、忖度なく正確なデータを取得してくれる調査会社こそが本当に必要な調査会社さんです。
地盤改良費用が掛からない事は、良いことですが、データを捻じ曲げたり、調査が正しく行われていなければ、そもそも試験の意味がないですもんね。
この辺り、今進められている断熱基準の義務化も同じかもしれない・・・
さて、この地盤調査、「スウェーデン式サウンディング試験」(以下、SWS試験)という方法が昔から変わらず最もポピュラーです。
これは、矢じりのついた鉄製の棒に100㎏の加重をかけながら回転を加え、25㎝毎に何回転したかを計測することにより、地面の下の見えない土や砂層の種類を「推測」し、また上に建築される住宅を支えられる層がどの深さにあるかを確認する方法です。
一時期、「表面波探査法」というをものもありましたが、現在はほとんど見かけなくなりました。
周波数によってデータが出てくるのですが、データの読み取りが非常に難しく、地域によっては読み違いが出ることも結構あったそうです。
そんなこともあって、相変わらずSWS試験が主流のままという感じ。
そう言ってしまうと、「地盤調査って進化していないんだね?」と言われてしまいそうです。
実際に、SWSをちょっと改良した「SDS試験」なんてものも出ていますが、専門家の間では、「その方式で追加で取っているデータに本当に意味があるのか?」って感じで解釈が二分しているところ。
調査方法自体は、進化していません。
でも、調査方法の進化はしていないけれど、調査精度を上げる方法ならばあるんです。
今回は、その方法で地盤調査を行わせて頂きました。
その方法とは、「SWS試験」に加えて、「土質サンプルを取る」事。
先ほど、SWS試験の概要を書いた時に、土や砂の層を「推測」すると書きました。
見えない場所なので、測定器の回転や荷重のデータや回転音から、「この層は関東ローム層だな。」とか、「鹿沼土の層だな。」とか、「腐葉土の堆積層だな。」とか「推測」します。
ただ、あくまでも「推測」です。
だから、実際にサンプルが取れたら、そのデータの確度が高くなりますよね。
という事で、ハンドオーガーボーリング、つまり手掘りでサンプル回収してもらいます。
これが思いの外ちゃんとサンプリングできるもので、回転層のデータと現地で整合できちゃうんです。
感動しました。
更に、現地でサンプルの含水率を計測。
これまでの地盤調査では、水位以上の水分確認って、できたことがないのでこれも感動的。
水分量の多い粘土層の地盤は、建物の重みで水分が抜けて体積が小さくなると、圧密沈下を起こしたりすることもあるので、ここまで計測できれば、もう怖いものなし。
地盤調査方法で、地盤改良が必要か不必要かを判断するのではなく、地盤調査の精度をより高め、データを正確なものにすることによって、本当に改良が必要な敷地にだけ、改良を行えるようにしていく。
そんな考えが、私は良いと思っています。
地盤調査を行う時、工務店を含め建築会社は、地盤調査会社を選ぶことしかできません。
建築会社によって、何を基準に調査会社を選んでいるかが違います。
ともすると、「改良判定を出さないから。」とか、「地盤調査費が安いから。」なんて理由で調査会社を選んでいることもあるかもしれません。
どんな調査方法を用い、どんな考えで地盤調査会社を選んでいるか、聞いてみるもの建築会社の価値観が見えるかもしれませんね。
hiroyuki