BLOG
つくり手の言葉
今年の夏も、暑さが厳しいですね。
この暑さの中、工事を進めてくれている協力業者の職人の皆さんには、頭があがりません。
弊社の大工コンビも、流石の暑さにグロッキー気味。
いくら完成すれば全館空調の家とは言え、工事中は保温力の高い箱。
作業をする職人さんたちにとっては、現場が厳しい環境であることに変わりはありません。
という事で、小さいながらスポットクーラーを支給しました。
昨日から、窓を閉めての屋内工事。
冷房容量は全く足りていませんが、気密性が高いので、しっかり湿度を下げてくれ、かなり体感はラクになったとの事。
さて、今日は夏の全館空調の家に暮らすにあたり知っておきたいことについて。
全館空調の住まい、この数年で爆発的に浸透し始めましたね。
浸透するにあたり、多くの調査・検証が行われ、全館空調にするのであれば、エネルギー効率的に断熱性能はHEAT20G2以上という事がわかってきました。
G2以上で、エネルギー負荷を小さくしながら、快適に。
いまや全館空調の基本となりました。
などなど、数値的なことや、エネルギー的なこと、知っておきたいことはあるけれど、やはり重要な点は「室温」の事。
特に「夏」。
全館空調の住まいは、基本的に高気密・高断熱、そして空気循環を備えています。
住宅を一つの箱と考え、その箱全体の空気をかき混ぜ続けることで、家じゅうの温度を均一にし、ほぼ温度差を無くします。
この「均一な室温を、何℃にするか。」というのが、考え所。
暑がりの人もいれば、寒がりの人もいます。
家族で体感温度が近ければ良いですが、そうとは限りません。
そのため誰の適温にするかを考える必要があります。
冬の場合、ある程度室温高めに設定したとしても、エアコン暖房であれば「暑すぎる!」という声はあがりにくいでしょう。
しかし夏の場合、室温を下げ過ぎると「冷え」を感じる方は意外と多いかもしれません。
やはり多いのは、ご主人と奥様の体格差が大きいケースでは、体感温度の差が大きく開くことがあります。
男性は室温をもう少し下げたい。
女性は室温を下げたくない。
この現象、更に起こりやすいのが、床面温度が低い場合です。
夏にエアコンの冷気が床下に回りやすいシステムになると、床面の温度が下がりやすくなります。
そうすると、冬の床暖の逆。
床冷の完成です。
多くの方が経験済みのように、床が冷たいって状態は意外とストレスです。
それが暑い日だったとしても、足の裏だけ冷やされ続けると不快に感じてしまうのです。
さて、ちょっと話が脱線しましたが、体感温度差をどうするかを考えてみましょう。
まず、大事なのは温度を下げすぎない事。
そして除湿すること。
私の家の場合、私は湿度の変化に敏感。
奥さんは、温度の変化に敏感です。
これは一例ですが、体感温度差が大きい場合、体格差も大きいことがあります。
そうすると、男性の方が発汗量が多いのですが、空気中の水蒸気量が高いと、気化熱を起こしにくく、体内に熱がこもりやすくなります。
結果、「暑い!」って感じやすくなる訳です。
だから、より熱を排出しやすくしてあげるために、湿度を下げます。
さらに、個別で扇風機使いましょう。
「全館空調の住まいには、扇風機は必要ない!」と思われている方も多いのですが、体感温度差に対して最も有効な方法は、暑がりの人に風を当てることです。
実際、全館空調システムの多くの場合、冷房の風が直接人に向かわないように設計されています。
直風が当たると、寒がりの人は夏地獄ですし、冬に温風が顔にあたるなんて目も当てられません。
なので、扇風機を使って上手に体感コントロールをして頂くのが最良です。
こんなことを書くと、「体感温度差があって扇風機まで使うなら、高気密高断熱の全館空調なんてムダ!」と仰る方もいるかもしれません。
でも、そんなことはないのです。
体感温度での快・不快の差は、一般的にせいぜい数℃です。
しかし、普通の住宅の暑い部屋と冷房が効いた部屋の温度差はどれだけでしょう。
冬ともなれば、その差は更に大きくなり、20℃のリビングと8℃の洗面室なんて当たり前。
快・不快を飛び越えて、健康・不健康のレベルの話になってきます。
もちろん、しっかりと高気密・高断熱にして、各所冷暖房という方法もあるかもしれませんが、費用には無駄が多いですよね。
やはり、少ない冷暖房機器で、家全体をコントロールしつつ、局所でちょっと調整。
これがあるべき姿です。
だから、高性能な住宅に住むことになっても、扇風機は処分しないようにしましょうね。
hiroyuki