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つくり手の言葉
桜のつぼみが一気にひらき始め、車で走っていると、華やかな景色が目に入るようになりました。
それに反して、今まで生まれてこの方感じたことのなかった眼精疲労を感じるようになり、近くの景色がぼやけています。
さて今日は、先日の見学会で質問頂いた内容についてお話したいと思います。
その質問というのが、
全館空調を提案している某工務店に見学に行った際に、営業さんに、
「この仕様だと何℃でくらせるの?」と聞いたら、
「好きな温度に設定すれば大丈夫です!」と言われたとの事。
なんだか、腑に落ちない感じで、他の建築会社も見学しているんだそうです。
さて、この全館空調だったら、何℃で暮らす問題、意外とちゃんと話している建築会社さんは多くないかもしれません。
皆さんは、全館空調は、何℃まで設定できると思いますか?
正解は、設計による。
当たり前の回答でスミマセン。
でも、そのままの意味です。
設計者が、何℃の暮らしを提案するか?によって、設計が変わってきます。
例えば、冬に室温23℃で暮らすことを想定するのであれば、それ合わせた断熱性や空調設備(換気、冷暖房機器)を設計、選択する必要があります。
(あ、ちなみに気密性能が高いのは言わずもがなで、C値低いと設計したところで、実状が乖離するので、机上の空論になります。)
何の考えもなしに、「○○℃で暮らせます!」と言葉にしてしまうと、クレームの元になるので、多くの建築会社は全館空調だと言っても、具体的な室温を濁すケースは多いです。
こんな建築会社さんの場合、断熱仕様や空調機器がすべて仕様として決まっている中で、建物の形状や大きさ任せの温度状況になるため、具体的な室温を想定できません。
加えて、冷暖房能力が足りなくなるリスクを抑えるために、比較的過剰な設備が選択されているケースも多分にあります。
某大手性能系ハウスメーカーさんが、Ua値メチャクチャ高いのに、全館に床暖房を設置するのは、ココに起因します。
住宅の冷暖房を車に例えると、冷暖房機器をエアコンとした場合、
エンジンがエアコン、車体が建物本体です。
ハイパワーなデカいエンジンを積んでいれば、車体が大きかろうが、重かろうが、空力性能が低かろうが、スピードを出すことは可能です。
その分、燃費もかかるし、風の影響でハンドル取られたり、不安定な部分も多いでしょう。
言ってしまえば、力押しの全館空調。
建築棟数が多すぎて、一棟一棟個別に計算できない建築会社さんや、知識量や経験などの有無の差が大きい工法系フランチャイズに多いです。
逆に、車体がコンパクトで適度に軽く、空力性能が整えられた形状であれば、大きなエンジンを積まなくても、省エネルギーで安定したスピードを出すことが可能になります。
こちらは、一棟一棟その建物に合わせた外皮、空調、窓、形状、換気経路などの詳細な設計を行う為、設備の余剰を減らすことが可能です。いい意味でも悪い意味でも、想定以上のスペックは絶対に出ないですけどね。
それでも、後者の場合は、
「この設計では、冬○○℃、夏○○℃で暮らすことを想定しています。そのためには、こんな暮らし方をしてくださいね。」
という、説明をしてくれるはずです。
なので、全館空調での住宅建築を検討している皆さんは、建築会社選定にあたり、
「この家は何℃で暮らす設計ですか?」
という一言を覚えておくと、どちらの全館空調なのか、判別しやすいと思います。
具体的な温度を伝えてくれるか否か、それが問題です。
さて、では私の自宅はと言うと・・・
その辺りのお話は、是非、建物を見ながらお伝えしたいところ。
4/19(土)に、私のTシャツの家「ハルノ体感」オープンハウス を開催します。
ご興味ありましたら、下のリンクよりご予約ください。
hiroyuki