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つくり手の言葉
先週、今週と2週続けて、住宅の「換気」についてたくさん学ぶ機会を得られました。
それで思ったのは、本当に多くの建築会社は「換気」嫌いなんだなーってこと。
さて、今では建築基準法に定められている24時間換気ですが、義務化されたのは、ほんの20年前。
日本の住宅はもともと気密とは無縁の「風通しの良い」つくりでした。
それが戦後以降、アルミサッシをはじめとした住宅建材の発達やマンション等のコンクリート集合住宅など気密化が成されてきました。
その結果、建材・家具・日用品から揮発するホルムアルデヒドなどのVOC(揮発性有機化合物)などによる室内空気汚染が発生。
頭痛、吐き気、のどの痛みなどを伴う「シックハウス症候群」が多発、社会問題になりました。
こりゃいかんという事で、2003年に建築基準法を改正。
住宅内の空気が2時間に1回入れ替わる程度の換気が義務付けられました。
それから20年の月日が経ち、既にちゃんと施工されていると思いますよね?
実は、なかなかそうもいかない。
というもの、木造住宅建築会社さんの多くは、換気頑張りたくないんです。
居住環境をより良くするために「換気」は重要な要素です。
どのくらい重要かというと、「断熱」「気密」「耐震」などと匹敵するレベル。
なにせ、人間は1日に20kgの空気を摂取している訳ですから、住宅の空気質というのは、それこそ健康に直結します。
また、現代の高性能住宅において、住宅内の「換気」と「空気循環」は連動して考える必要があります。
どんなに気密・断熱性能が高くても、暖かさや涼しさが、行き渡らなければ、その価値は大いに減ずるところとなるでしょう。
だから、とても重要な要素です。
にもかかわらず、後回しにされやすい。
気密や断熱についての、お客様からの要望は非常に大きくなっているけれど、換気まで勉強されている方は、かなりニッチ。
だから、多くの建築会社さんはそこを頑張るうまみがあまりないんです。
だから、こだわらないし、手間をかけたくない。
そんな建築会社さんとニッチなお客さんが打ち合わせた時の あるあるを換気機器メーカーさんが話してくれました。
お客様から、熱交換式の第1種換気ダクト24時間換気を使ってほしいと希望があったが、既にプランが確定していて、ダクト経路が取れない。
そもそも、気密測定を行わないので、そこにコストをかけても、実際の効率が不明。
提案するにも大変なんだそうです。
実際に熱交換式使ってる木造住宅なんてメチャクチャ少ないし、全棟気密測定している建築会社なんて皆無です。
換気機器メーカーさんからすれば、気密測定を行って、少なくともC値1.0、欲を言えば0.5出ていないと、漏気(スキマ風)だらけで、計画換気として成り立たないという事です。
そう考えると、事前に換気機器を選定し、プランに合わせた配置計画を行い、気密測定を行うことで効率が出ている事を確認する、という所までやって初めて、24時間換気ができているという事になります。
とは言え、プランニングから計画するなんて、大変ですよね。
好きにプランして、後付けで、適当に設置できる方が手間も、時間も、費用も少なくて済みます。
考えなくていいというのはラクチンです。
だから、多くの場合、各部屋に名目上3種換気というの穴だけあけて、検査をパス。
って書き方、嫌なカンジですよね。
でも、実際にプロがプランニングする場合、そういった条件が山ほどあります。
構造、断熱、換気、空気循環、日当たり、敷地、目線、意匠、施主の要望 etc…
平面上のパズルだけではありません。
だから、ちゃんと一から設計している場合、1週間やそこらじゃプランは書きあがるものではありません。
「ハウスメーカーは早いよ!」って声が聞こえてきそうですが、さもありなんという感じです。
さて、換気に話を戻すと、
先日の換気機器メーカーさんの説明会も実は初心者向けの製品紹介。
まずは、極力低コストで、これまでの施工と近い製品を提案することで、換気に興味を持ってもらおうとしています。
ドイツのメーカーの日本法人さんですが、本国では少数派の換気システムが日本での売り上げの中心になっているんだそうです。
まぁ、向こうの換気は全館空調と一体化したドデカいシステム。
現状、日本では受け入れられないでしょうね。
今日書いたのは、あくまでも「換気」大事だよーって事。
もちろん、換気機器にも種類があり、それぞれの方式にもメリットとデメリットがあります。
計画している建物の仕様や建築会社の考え方によって、相性があるので、どの機種が正しくて、どの機種が間違っているというものではありません。
ただ、「断熱」「気密」「耐震」などと匹敵する程に大事な要素と考えたら、どんな方式のものを使うかしっかりとプランニングの段階で検討し、そしてその性能がちゃんと発揮できる気密があることを計測することで、より安心した家づくりができるとおもいませんか?
あ、ちなみにオースタムは初回プラン設計から、上で書いた断熱、気密、換気、構造etc.etc.検討して提案させて頂きますよ。
提案まで時間はかかりますが・・・
hiroyuki