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つくり手の言葉
2024年になりました。
今年もよろしくお願い致します。
元旦に起こった能登半島地震。
筆舌に尽くしがたい状況。
本当に言葉になりません。
とりあえず今できるのは、知人の安否を確認しつつ、いずれ使ってもらえるであろう支援金や義援金で応援させて頂くことかと。
あとは、この気持ちを如何に家づくりに反映していくか。
日本は太平洋プレート、北米プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートと、4つのプレートが集まる場所にあるため、大きな地震が起きやすい国です。
文章にしてしまえば簡単ですが、本当に稀有な場所。
だからこそ、安心して暮らすには、住宅の耐震性が必須。
耐震性能の必要性については、書き続けると長くなりすぎるので、弊社も所属している「構造塾」のYoutubeを見てもらった方が分かりやすいし、受け取り方で意味が変わったりしないです。
リンク張っておきます。
「耐震性が低い方がいい!」という建て主さんはいらっしゃらないでしょうし、建築会社も耐震性能が不要だと思っている事はあり得ません。
でも、「いまだに耐震等級3で家を造らない建築会社が多いのはナゼなの?」
見学会でも時々聞かれることがあります。
今、オースタムは構造計算を行っていますが、工務店として、耐震等級3にしたがらない理由もわかります。
いまだに耐震等級3にしない建築会社はこんな風に考えているかもしれません。
理由1:「自由を奪われる」
構造計算をすることで、自身が考える自由なプラン作りを制約されてしまいます。
壁が増えたり、バランスを考えたりすることで、お客様の要望が叶えられなくなってしまう。
お客様に不利益だ!
理由2:「勉強してる時間なんてない!」
ただでさえブラックな環境の住宅業界。
今から構造計算の勉強なんてしていたら身持たない。
建築確認クリアできれば、家は建つのだから・・・
理由3:「外注したら予算も時間もかかってしまう!」
自社でできなければ外注する方法もあるけれど、外注したら費用が掛かってしまう。
打合せ時間も増えてしまうので、建築までに時間がかかってしまう。
お客様の予算も時間も増えるので、お客様にとって不利益だ!
理由4:「プラン変更に対応できない!」
もし、外注で構造計算したとしても、途中でお客様から「この壁無くしたい」とか「この部屋広くしたい」なんて言われたら、また計算のしなおし。予算がいくらあっても足りやしない。
お客様に請求しなきゃいけないから、お客様にとって不利益だ!
理由5:「○○工法だから大丈夫」
建物そのものを計算しなくても、家を強くする工法(部材)にお金をかければ、大丈夫。
メーカーが行ってるから、大丈夫、大丈夫。。。
この辺りが、やらない理由として多いのではないでしょうか。
本気で思っている方もいるし、いい訳として使っている方もいる方も結構多いかも。
実際に、構造計算って時間も手間もかかります。
建築会社のウリがデザインだったり、営業中心だったりすると、相性が悪いんです。
「でも、ハウスメーカーはたくさん建てているのに、耐震等級3取ってるのはナゼ?」
って思った方、よくご存じで。
彼らの場合は、一棟ずつ計算している訳ではありません。
国交省から、モデルケースにおいて型式適合認定ってのを取ることで、同一の形式で設計ルールに基づいて量産される住宅の構造計算を省略できます。
ハウスメーカーの建物において、できない事が多いと言われる理由はこれ。
設計ルールから外れると、大問題になってしまうから。
この型式適合認定にも、厳しい意見があるようですが、それでもルール無用な自由建築と比較すれば、安心感がありますよね。
色々書いてきましたが、オースタムも最初から構造計算してきたかと言えば、そんなことはありません。
理由5を採用していた時期も長くあります。
東日本大震災においても、大きな被害があったオーナー様宅はありません。
しかしながら、どんなに良い免振部材や耐震部材があったとしても、大きく重心が崩れていたり、構造に偏りがあったりっていうのでは元も子もありません。
もちろん、そんな無茶な依頼をするオーナー様も、際どい設計をするスタッフもいませんけどね。
それでも、当たり前を当たり前として考えると、特に耐震と断熱においては、ちゃんと自社で検討して、納得してお渡ししたいですよね。
ちなみに、2025年に4月には、建築確認における構造関係の申請がちょっと厳しくなります。
少しの変化ですが、これから家を建てる方にとっては、良いことです。
ただ、断熱の時もそうでしたが、これから家を建てる方々が、「耐震性で建築会社選ぶぞ!」くらいの流れがないと、なかなか全体の状況は大きく変わらないかもしれません。
だから、まずは、構造塾の一般向け動画をこれから家づくりする方には、観てほしいなぁ。
能登半島地震からまだ1週間、耐震について大っぴらに書くのは、時期尚早なのかもしれません。
でも、今、書いておきたいなって思ってしまったもので・・・
取り留めもなくなってきたので、今日はここまで。
本年もよろしくお願いいたします。
hiroyuki