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つくり手の言葉

冬の「ぷしゅー…」なんの音?

冬に家の外から「ぷしゅー…」って音が聞こえてくることがあります。

今では、戸建て住宅、マンション、アパートに限らず聞こえてきます。

日本の風物詩的な音です。

さて、何の音でしょうか?

その音の正体はエアコンの室外機。

地域や設置位置によっては、この時期でも既に聞こえ始めていますよ。

普通に暮らしていると、「ぷしゅー」って言っても、「そういうもの」と思ってしまう所ですが、その音がナゼするのかご存知でしょうか?

エアコンは冷媒ガスを圧縮して外気から熱を回収しながら…って説明は難しくなるので、できるだけカンタンに。

エアコンは冬の暖房運転を続けていると室外機が冷えて霜が付き動けなくなってしまいます。

運転を止めて、ヒーターなどで自分を暖めます。

それが、霜取り運転。

そんな時、「ぷしゅー」って音がします。

この時、室内機は送風モード。

暖かい風は出ません。

つまり、この「ぷしゅー」な霜取り運転の時間が長いとエアコンの風は扇風機同然。

冬に扇風機つけていれば、そりゃ寒い。

これが結果的に、エアコン暖房は寒いと思われてしまった原因な訳です。

価格が安いエアコンの場合、この部分への対策がなされていないモノが多いため、冷房としてはしっかり使えるけれど、暖房利用時は「電気代ばかりかさんで、全然部屋が暖まらない」なんて話をよく聞きます。

もちろんココには、住まいの気密・断熱性能も大いに関わってくるのですが、併せて、エアコン選定を間違えているケースも非常に多いです。

エアコンは「どの地域」の「どんな建物」の「どんな場所」に「どんな用途」で使用されるかによって、機種、容量の選定が必要になります。

冬の夜に0度を下回るような地域で断熱スカスカの家、そんな場所で激安の低性能なエアコン設置をすれば、エアコン暖房で快適なんて夢のまた夢でしょう。

これが、薪ストーブがあって暖房利用はなし、夏に冷房としてだけの利用ならば、その機器選定もアリかもしれません。

もちろん、バキバキに外皮性能(気密・断熱性能)が高めてあれば、多少霜取りが行われても、室内の温度変化が緩やかなため、十分な性能を果たす事もあります。

住宅の快適性をしっかり提案する建築会社の場合、その多くが冷暖房機器の容量を建てる地域、建物の外皮性能と容積、冷暖房方法によって、エアコンの機種提案をしてくれるでしょう。

一番危険なのが、

「お引渡しが終わってから、畳数に合わせたものを家電量販店で購入してください。その方が断然お得ですから!!」

お得な提案をしてくれるから良い建築会社という訳ではありません。

ただ、温熱環境が苦手な建築会社、若しくはオーナーさんの住んでからの意見をフィードバックしていない建築会社なだけです。

と言うのも、家電量販店でエアコンを購入される際に、住宅の断熱性能を聞かれたことありますか?

量販店は、今売りたいもの、例えばメーカーから安く大量に仕入れて売り切りたいものをオススメします。畳数さえ合っていれば、責任はありません。仮に霜取りが多くても、「そういうもの」とするだけで、住環境への責任は取ってくれません。

量販店が悪いと言っている訳ではなく。家電量販店でエアコンを買うとは、そういう事です。

エアコン選定は、住まいと合わせて、建築会社が行う。

快適な住環境をつくる為の基本です。

家づくりの際には、建築会社にエアコン選びにどんなこだわりがあるか、聞いてみましょう。

そんな風に考えると、たかが「ぷしゅー」ですが、住宅の快適性を根幹から考えさせられる「ぷしゅー」。

この音を聞くたびに、その家はどんな暮らしか、想いを馳せてしまいます。

hiroyuki

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