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つくり手の言葉
見学会にお越しになった方が、
「ウチは冬27℃あるのに寒い。この家となんでこんなにチガウの?」と。
3月行った完成見学会の建物は、温度計の表示は23℃でした。それでも暑いくらい。
何が違うのでしょうか。
実は、温度計の表示と体感温度には『差』があります。
体感温度を知るには、大きく3つのポイントがあります。
『温度』、『湿度』、『風速』です。
先にイメージしやすい後ろの2つから。
まずは『湿度』。日本の夏の湿度ムシムシ状態とハワイのカラッと状態を比較してわかる通り、湿度が高い方が体感温度は高くなり、低いと逆に低くなります。
『風速』は、夏の扇風機のイメージ。直接風が当たると体温を奪うので風速が早い程、体感温度が低くなります。
以前のブログで、エアコン暖房があたたかく感じにくい理由の一つとして書きました。
冬暖かい家は、湿度が低くなっておらず、風が無い事が重要です。
さらに『温度』。一番わかりやすいようで、わかりにくいのがコレです。
人の身体に熱が伝わる方法として、『伝導』『対流』『放射(輻射)』の3つがあります。
言葉で言ってもわかりにくいので、絵を描きます。
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・。
ペイントで描いてみました。
酷いっていうか、憐れですね・・・(ToT)
まあ、とりあえず絵のクオリティは置いておきましょう。
まず、床に直接触れている足から伝わる熱、これが『伝導』です。
『対流』、これはエアコンからの風ですね。空気動いてが熱を伝えてくれます。
そして、『放射(輻射)』、これは壁や天井から熱のビームが出ていると思ってください。(実際は電磁波ですが。)
太陽からの熱や、ストーブが暖かいのと同じイメージです。
では、体感温度を知るには、4つの温度を測るのがポイント。
最初に空気の温度。つまり温度計に表示されている室温(対流)。
さらに、その家の暖かさを知るためには、床(伝導)、壁・天井(輻射)を測定し、全部足して4で割る。
つまり平均値を出してみてください。それが体感温度。(本来は湿度、風速も必要なので、簡易版と思ってください。)
加えて、4つの温度の差が小さい程、快適性能は高いと言えます。
最初に話に出た27℃で寒い住まいは、エアコンやファンヒーターで空気を暖めても、断熱性能が低い建物である可能性が高いです。壁も天井も冷えやすいので、冷たい放射ビームが出ている上に、床も冷たくなってしまう為、冷たさが足から伝導で伝わります。結果、体感的に寒く感じてしまうのです。
各所の表面温度がわかると、建物の快適性能が見えてきます。見学会や展示場でこれがわかると、とってもGOOD。
とは言え、これから家を建てる方に、比較のために高価なサーモカメラを持って、住宅見学しましょうと言うのは、とっても酷です。何万円~何十万円しますからね。
そんな皆さんにオススメしたいのがコレ!!
放射温度計と言って、表面温度を測る機械です。
お料理の際に、揚げ油の温度を測ったり、うちでは、赤ちゃんのミルクの温度を測ったりもしていました。
コレ、2~3,000円くらいから売っています。
見学会や、展示場に行った際に、これをサッと出して、床、天井、壁の温度を測って、どの程度温度差があるか見てみましょう。(特に吹抜けがオススメ。)
暖房や冷房がガンガンに利いていても、???ってことがあると思いますよ。
(これ持って、同業者です。と言えば、後追い営業ないかもしれません。)
ちなみに先日のTシャツの家完成見学会の際、見学会に来られた建築学校の先生と生徒さんは、床、壁、天井で1℃も差のない状態の驚かれていました。気密、断熱、換気のバランスの良さが現われるんです。
快適な住まいを選ぶためには、家を建てる方自身が、知識を得る事が重要です。簡易的でもポイントを知っていれば、自身の判断の大きな助けになります。まずは、ちょっとした実験だと思って、是非、放射温度計を使って、カベ、天井、床の表面温度を測ってみてください。
hiroyuki