BLOG
つくり手の言葉
やっと暑さのピークを越えましたね。
日差しのジリジリ感もなくなり、やっと日傘から解放されました。
やっと汗ジミを気にせずに着る服が選べる時期になります。
さて、今日は住宅の大きな流れについてのお話。
先日、国土交通省住宅局より、「令和6年度 住宅のエネルギー性能等の調査結果」が郵送されてきました。
その一部が表紙のデータです。
毎年、上記についての調査票が送られてきて、断熱性能や使用している断熱材やサッシ、玄関ドアの仕様等を報告します。
すると、1年後、結果が集計された結果(概要のみ)が送られてきます。
今回は令和6年度に集計したものなので、令和5年度つまり2023~24での集計結果となります。
これらの調査結果によって、政府は今後の住宅の省エネ政策についての微調整を行っていきます。
さて、では現在の住宅の省エネ対策ロードマップはどんな感じかと言うと、こんな感じ。
2025年、今年に省エネ基準適合を義務化、そして遅くとも2030年までには、義務基準をZEHレベルに引き上げとしています。
では、令和5年度の省エネ調査の結果を見てみると、300㎡(90坪)未満の小規模住宅においての省エネ基準適合率は95.4%となっています。
義務化の前段階で、ほとんどの住宅がすでに条件をクリアしていたんですね。
もちろん、義務化前には「省エネ基準適合の可否の説明義務」ってかたちで猶予期間が設けられたため、その間に対応が済んでいた訳です。
あれだけ、「省エネ基準を義務化したら、地域工務店はつぶれてしまう!」なんて意見が多数あったにも関わらず、なってしまえばこんな結果です。
では、ZEHレベルの省エネ性能への適合率はと言えば・・・
適合率:52.3%
つまり、既に一般的な新築住宅の半分以上は、ZEHレベルの省エネ性能って事です。
さて、では過去においてZEHレベルって、ロードマップだとどのように考えられていたのでしょうか。
平成24年(2012年)に経産省、環境省、国土交通省で作成された「低炭素社会に向けた住まいと住まい方の推進に関する工程表」を見てみると・・・
一番上の目標を見てみると、
2020年:ZEHを標準的な新築住宅とする。
2030年:新築住宅の平均でZEH。
という計画になっています。
現実に、既にZEH自体は標準的に求められる仕様になってきました。
太陽光パネル自体は、敷地によって効果がまちまちの為、普及は限られますが、外皮性能や一次エネルギー消費量については、既に半数以上の一般住宅がクリアしている訳ですから、2012年の計画は、想定以上に進んでいると言っても過言ではありません。
近年の国の政策を見ていると、なんとなく、「政府の思惑なんて、どうせ実現しないだろう。」なんて思ってしまいがちですが、実のところ、しっかりと想定通りの動きをしています。
やるってなったら、やるんです。
つまり、5年後の2030年には、ZEHレベルの外皮性能、一次エネルギー消費量が建築基準法の義務レベルとなります。
今、それ以下の家づくりをしたら、5年後には既存不適格建築物。
今後も更なる更新が行われた際に、基準未満にならないように、しっかりとした性能を持たせておきたいものです。
とは言え、これから住宅をこだわって新築したいという方のほとんどは、快適な居住環境を求めている方でしょうから、ZEHレベルでは満足されないですよね。
hiroyuki