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つくり手の言葉
グッと気温が下がり、いよいよ灯油の宅配車両を見かけるようになりました。
秋をほとんど感じることなく冬支度。
秋は今後無くなっていくのかも。
全館空調のお家もそろそろ暖房を使うか悩むタイミングですね。
「寒い」と感じるのであれば、室温の急激な変化をさせぬよう、無理せず早めに暖房開始しちゃいましょうね。
さて、今日はそんな住宅の性能基準に関するお話。
皆さんは、すでに「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」という言葉はご存じだと思います。
「使う」エネルギーと太陽光発電で「作る」エネルギーが差し引きゼロの住宅ってイメージですよね。
でも実は、もう少し細かい基準があります。
①外皮性能:断熱等級5(地域区分5地域の宇都宮市近辺だと、Ua値0.6w/m2k)
②一次エネルギー消費量の削減率が、太陽光を除いても、20%以上の削減率。
③太陽光発電設備の設置
④一次エネルギー消費量の削減率が、太陽光発電設備を含めて、100%以上。
さて、2015年に経済産業省によってこのZEHの基準、いよいよ要求水準の引き上げの具体的な内容が発表されました。
新たな基準の名称は、「GX ZEH」。
正式名称に直すと、「グリーン・トランスフォーメーション・ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」。ながっっ!
GXとは、政府のグリーントランスフォーメーション政策からきており、
温室効果ガス排出の多い化石燃料中心の経済・社会から、太陽光や風力などのクリーンエネルギー中心の社会へと経済や産業構造を根本的に変革していく取り組み
のことなんだそうです。
これに伴い、ZEHに求められる数値が高くなります。
①外皮性能:断熱等級6 (地域区分5地域の宇都宮市近辺だと、Ua値0.46w/m2k)
HEAT20 G2が 0.34w/m2kなのを考えるとかなり上がってきました。
ちなみに、東京(6地域)の場合、G2レベルは、0.46w/m2k
②一次エネルギー消費量の削減率が、太陽光を除いても、35%以上の削減率。
③太陽光発電設備の設置
④一次エネルギー消費量の削減率が、太陽光発電設備を含めて、100~115%以上。
(GX ZEH+の場合、115%以上。)
⑤HEMS・蓄電池の設置
要は、太陽光設備はそのままでいいから、建物自体の省エネ性を高めろって話ですね。
更に、HEMS(ホーム・エネルギー・・マネジメント・システム)や蓄電池を設置してエネルギーの効率化を図れと。
建物の外皮性能や、エネルギー消費量は、そもそも施主の住み心地に直結するため、今や当たり前にご要望頂くレベル。
太陽光発電システムも同様で、プランのご相談を頂く際に、必ずと言って過言ではないくらい要望として挙がってくる。
HEMSは、現状まともに活用できているような機器ではないが、設置費用は数万円、補助金を受給するのであれば、手数料の一部と考えても差し支えないだろう。
ただ、問題なのが、蓄電池。
いまだに経済合理性が低いこの設備が必須条件なのが、なかなか厳しいですね。
太陽光発電システムであれば、「元を取る」という考え方ができるのですが、「元を取れるか微妙」という状況で100万円を超える機器を付けねばならない。
見方によっては、
「これまでは太陽光発電システムを普及させるためにZEHの補助金が使われてきたけれど、太陽光は一般化して皆自腹で設置できるようになったので、今後は蓄電池の普及に補助金を付けよう!」
という感じにとれますね。
でも、補助金の枠がなくなったら、そこまで求めるご家族がどこまでいるか・・・
もちろん、エネルギー消費量の削減という点を見ると、蓄電池は非常に効率的かもしれません。災害時の保険としても非常に優秀です。
国としては、CO2削減を掲げるために、進めたい機器であることも理解できます。
しかし、施主の負担は、なかなかキビシイですからねぇ。
GX ZEHは、2027年スタート予定。
そこまでに多少の調整が入るのか、それともこのまま進むのか。
どちらにせよ、また一歩、断熱の基準が高くなります。
今、住まいを検討するなら、しっかりUa値を比較しましょうね。
hiroyuki