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つくり手の言葉
世の中、空前の無垢床ブーム!!
って言うほど、使ってらっしゃる建築会社は多くないけど、
一時に比べて、床材を無垢にする工務店さんは多くなったように思います。
パイン、杉、ナラ、ブラックウォルナット、桜、栗、メープルなどなど、様々な樹種が使われていますが、
どれを使っても、素足で踏むと、とっても気持ちがいいです。
特にお風呂上がりの素足は気持ちいいですよね。
新建材のフローリングやクッションフロアと違い、足の裏の湿気をスッと吸い取ってくれるような感覚。
人が家の中にいて、必ず家に触れている場所は足の裏。
足の裏が触れている「床」の素材を触り心地の良いもの、快適な素材にすることには大きな価値があります。
もちろんオースタムも例にもれず、基本のご提案は無垢材にしています。
さて、そんな中よく聞く話として、
「無垢の床材は、冬、暖かい」という話。
これは本当でしょうか?
私が単純に上の質問をされたら、回答は、
「NO!」と答えます。
なぜなら、床が暖かく感じられるのは、気密・断熱性能や、暖房性能によるものです。
例えば、室温10℃の部屋の床が無垢材だからというだけで「暖かい」と感じる方はいません。
もし床の暖かさを求めるならば、「冬の床面の温度は何℃くらいですか?」と聞いてみるといいでしょう。
多くの方は、床面の温度が23℃以上あれば、「暖かい」と感じるはずです。
ウチの奥さんは、床面が24℃超えると、冬でも靴下を脱ぐ傾向があります。
ではなぜ、「無垢の床材は暖かい」と言われるのでしょうか。
これは、「無垢の床材」と「新建材のフローリング」の比較の話です。
例えば、下の写真のように「無垢の床材」と「新建材のフローリング」を並べ、
放射温度計で表面温度で測定し同じ表面温度であることを確認します。
左:新建材フローリング
右:パイン無垢床材
それから、両方に足をのせてみる。
表面温度は同じなのに、体感温度は1℃~2℃違います。
これは、寒い時期であればあるほど、違いを顕著に体感できます。
表面の塗装の厚みが大きく違うとか、含んでいる空気の量が違うとか、足の裏の湿気が・・・とか原因はいろいろ言われていますが、ビックリするほど違います。
(無垢材の床でも、表面塗装を厚く塗ったりすると、新建材と体感温度がほとんど変わらなくなることも有ります。)
だから、「無垢の床材は、冬、暖かい」んです。
この効果で、床面が22℃の状態を、24℃の体感に押し上げることで、より暖かくすることもできます。
ただし、先ほど申し上げた通り、床面の温度が10℃だったら、体感12℃になっても・・・
せっかく無垢の床材にしても、靴下2重履きですねぇ。まぁ、夏は快適かもしれません。
つまり、無垢の床材の価値を、四季を通して堪能するには、
建物の気密・断熱性能や暖房性能がなければ不可能なんです。
更に、「無垢の床材で自然素材だから健康的」と表現している建築会社もありますが、これも温度と同じです。
床が自然素材であっても、気密・断熱不足で温度差があったり、換気が不十分な家で
結露、カビ、ハウスダストが発生しまくっていたら、健康とは程遠い暮らしになってしまいます。
先日のシックハウスのブログでも書いたので省略です。
「無垢だから暖かい」のではなく、「無垢を生かせる暖かさ」が大事なんです。
ちょっとした言葉の違いなんですけど、この表現の違いは、建築会社の考え方を表すとも言っていいでしょう。
「無垢の床材なので、暖かいですよ。」という建築会社にご注意を。
hiroyuki