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つくり手の言葉
今日は徒然なるままに、現場で思ったことを。
家づくりの参考になる話じゃないので、読み飛ばして頂いて全然OK。
先日、オーナー様宅の補修工事立会いに伺いました。
某水回りメーカーのメンテナンススタッフに来てもらっての修理。
内容的には、小一時間で終わる想定でいたですが、思ったよりも時間がかかっていたので、作業のジャマにならない程度に声をかけてみると、
「会社の指示で、カッターを使えなくて・・・」
今回の補修にあたっては、既存のコーキングを取り除く必要がある。
この作業、一般的にはカッターを使用して行うのだが、カッターでの作業時に製品に傷をつけてしまう事例が頻発したことから、カッターでの撤去作業が禁じられたとのこと。
ヘラを使って、こそげ取る。
手間がかかる。そして消しゴムカスのようなクズもたくさん出る。
養生、作業、片付け、全体通して2倍くらいの人的コストがかかっている。
これが、もしお客様負担のメンテナンス工事だとしたら、時間=費用で考えた場合、お客様の費用負担が大きくなるということ。
ちなみに、蛇口メンテナンスに際しても、一般的には、蛇口のすぐ下の止水栓で水を止めて行うのだが、これも禁止され、屋外の大元の止水栓を締めるというルールに変わったそうだ。
これも、蛇口下で対応できれば、家の中の他の蛇口から水の使用が可能だが、元を締めたら、作業中にお客様はトイレを含め、水を全く使用できなくなってしまう。
どちらも不利益を被るのは、お客様である。
問題が起こった場合、再発防止に向け対応策を練る。
カッターの件の場合は、正しい作業方法の共有によって改善を図り、合わせて技能の向上を図れなかっただろうか。
もしかしたら、すでにやってダメだったのかもしれない。
でも、もしかしたら大きい組織だから、禁止してしまう方がラクだったのかもしれない。
あくまで想像してみただけ。
ただ、世の中的に、現場ルールで禁止することで、ラクに管理しちゃうケースってとっても多い。
例えばタバコ。
私は今、喫煙者じゃないけれど、嗜好品としてタバコを嗜むことは否定しません。
もちろん、くわえタバコで作業をしたり、工事中の建物内でタバコを吸うなんてのはありえません。
でも、マナーとルールを守っての喫煙であれば、休憩の範疇でアリですよね。
そのために、何がマナーでどこまでがルールなのか、オースタムと職人さんでしっかり線引きする必要があります。
でも、その価値観の共有ってとっても大事。
今どき意外とよく聞くのは、建築地の工事敷地内全面禁煙。
で、職人さんが敷地の外の道端で、タバコ吸っちゃってたりするパターン。
建築会社からすれば、禁止しちゃうのが一番ラク。
特に、職人さんが入れ代わり立ち代わりで、たくさん棟数やってるビルダーさんは価値共有とか言ってられないですもんね。
でも、暑い中、寒い中、力仕事や気を張った作業をする職人さん達。
休憩するときは、ちゃんと休んでパフォーマンスを発揮してほしいですよね。
「カッター禁止」禁止する側からすると言葉にするだけだから簡単なこと。
でも、現実の作業では大きなこと。
お客様や近隣、他の協力業者に迷惑をかけないように自身の工事をおこなうモラルやマナー。
絶対に禁止すべきことと、線引ラインを明確にして許可すべきこと。
それぞれの立場とや価値観。
ほんの数時間のメンテナンスの間、考えさせられる時間でした。
hiroyuki