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つくり手の言葉
毎日、暑い日が続きますね。
外に出ただけで、熱と湿気で汗が吹き出します。
この暑さの中、工事をしてくれている協力業者の職人さん達には本当に感謝です。
さて、夏の暑さの中。「蓄熱」って言葉を聞くと、より暑そうな気分になりますよね。
「蓄熱」というと、冬の寒い時期に太陽の暖かさを蓄えて、あったかく過ごすイメージがあります。
今の季節とは真反対の言葉で、夏には要らないものと感じるかもしれません。
でも、夏の蓄熱、大事です。
皆さんは、エアコンで冷房するとき、どのくらいの運転時間にするのでしょうか。
近年、断熱性の高い住宅が増えてきている中、暮らし方までしっかりとご案内できている、建築会社が少ないと聞きます。
特にエアコンの使い方って、しっかりとした知識がないと、
「暑かったら冷房にしてください。」「寒かったら暖房にしてください。」
って、当たり前の説明になります。
これだったら、言わなくてもわかるレベルですよね。
このレベルの説明だと、住まい手もついつい、
「ながくエアコンを点けてると、電気代がかかるから早めに切っちゃおう。」
という気持ちになりやすいですよね。
切って暑くなったら、またつける。
この繰り返し。
でも、これってあまり快適な暮らし方ではありません。
せっかく性能が高い住まいがあっても、宝の持ち腐れです。
大事なのは、「蓄熱」。
もっとわかりやすく言うと「蓄冷」です。
基本に戻りましょう。
熱を伝える3要素、覚えてますか?
「伝導」「対流」「輻射」
「伝導」は、触れたモノから伝わる熱。
「対流」は、空気の流れを媒介して伝わる熱。
「輻射(放射)」は、媒介を使わず電磁波として離れた場所に飛んでいく熱。
エアコンでの冷房は、キンキンに冷やした冷媒に風を当てて、その風を送り出すことで、その空間の空気を冷やします。
空気は対流して部屋の隅々に行き渡り、部屋を冷やしてくれます。
例えば、エアコンの設定温度を26℃にすれば、空気の温度が26℃になった段階で、送風モードになったり、止まったりします。
そして、室温がまた上がってきたら、冷房が再稼働しますね。
実は、空気を冷やすだけだと、空間が冷えた状態が長続きしません。
特に、エアコンの入り切りを激しく行っている場合、家が冷え切らないのです。
家を冷やす?って意味不明かもしれません。
でも、高性能住宅で全館空調を行っている場合、家一棟を丸々ひとつの部屋とイメージできます。
家全体をしっかり冷やす。
壁の中の柱の芯までしっかり冷やす。
家具まで冷やす。
これが、「蓄熱」です。
ここまでやってあげると、洞窟の中のような状態になります。
涼しさの輻射が体に飛んできます。
更に、涼しさを壁の中まで貯め込んでくれているので、温度変化が緩やかになります。
涼しさを「蓄熱」すると、高性能住宅の夏の暮らしやすさが、ワンランクアップします。
だから、エアコンの間欠も省エネ的には良いですが、体感的には連続運転。
室内の環境がちょっと動いたら、エアコンが補正するを小さく繰り返すってのがイイ感じ。
住宅の断熱・気密性能が低いと、蓄冷どころではなく、家中あちこちから、どんどん熱が漏水しているかのように流れ込んでくるので、エネルギー垂れ流しになります。
住宅の性能と合わせて、どんな風に機器を使うとより暮らしの快適性が上がるか。
建築会社にはしっかり教えてもらいましょうね。
hiroyuki