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つくり手の言葉
空気がジメジメで、エネルギーが食われていく気がします。
日本の夏って、湿気に体力を持っていかれますよね。
前回、エアコンの除湿の話をしましたが、このところ、空気の湿度について学ぶ機会が連続していて、楽しい日々です。
昨日も、自立型住宅研究会 関東ゼミにて、「空調の基礎を極める講座(基礎編)」を受講してきました。
住宅建築において、「気密」や「断熱」の重要性については、家を建てようと考えるご家族自身が理解している時代。
加えて「耐震」についても、家を建てるなら当たり前に必要な性能と認知されました。
だから、多くの建築会社がそのニーズに合わせるべく、急ピッチで舵を切っている真っ最中。
でも、例えば高断熱で高気密な住宅において、より快適に暮らすためには、実はそれだけでは足りません。
昔からお伝えしているように、「空気循環」と「湿度」をしっかりと管理していくことがとっても重要。
今回、この「湿度」ってのをより深く学ぶとっかかりを頂きました。
湿度を学ぶにあたり、出てくる基本の単語は、
「相対湿度」、「絶対湿度」、「比エンタルピー」。
「相対湿度」はご存じの通り、一般に「湿度」と呼ばれて、湿度計に%で表示されるヤツですね。
「一定量の空気の中に、どのくらいの割合の水蒸気が含まれているか」ってやつ。
割合だから%表記。
次に、「絶対湿度」。
これも、オースタムのお客様だと「何となく聞いたことあるよー」って方が多いかもですね。
絶対湿度の単位は「kg/kg」。
空気1kgの中に、何kgの空気が含まれているかを表します。
空気が抱えることができる水蒸気の量って、温度によって変わるんです。
5℃よりも10℃の方が、水蒸気を抱えられる最大値が大きくなります。
もちろん、10℃より15℃、15℃より20℃と増えていきます。
抱えられる量が変わってしまうから、抱えられる割合(%)だけでは話ができないので、
1kgの空気の中に、水蒸気が何kg?って話になると、具体的にりますよね。
オーナー様宅で、過剰な結露が発生した場合や、乾燥が起こった場合、温度と相対湿度、そして絶対湿度を見ながら状況を確認していきます。
また、冷房やドライ運転を使うタイミングをお伝えするときも、判断材料として使います。
講義で東京の月ごとの平均気温と、平均相対湿度から読み取る演習があったのですが、
3~5月、10~11月という快適な時期は、絶対湿度でいうと、0.006kg/kg~0.010kg/kgくらいの間です。
つまり、このくらいの水蒸気量だと、余計な除湿も加湿もいらない、空気が超イイ感じってなる訳です。
ちなみに、東京と比較するための都市として、フランスのボルドーが例に上がったのですが、
ボルドーの「相対湿度」をデータだけを見ると、冬は90%、それ以外は70%越えと、異常な数値。
それだけ見ると、さぞジメジメしていそうに感じてしまうのですが、現実には違います。
分かりにくいかもですが、空気線図載せますね。
東京の各月の平均気温と平均相対湿度を赤でプロット。
ボルドーは青でプロットしました。
「青の点が東京の3~5月、10~11月群と近い所にまとまってるなぁ。」くらいが見て取れてくれれば、ありがたい。
これ、ボルドーの絶対湿度は、1年を通して、ほぼ東京の快適な時期と同じくらいってことなんですね。
もちろん、この原因は海がどちら側にあるか、とか、偏西風がとか地理的な理由があるのですが、とにかく空気中の水蒸気量が超イイってコト。
それに比べて日本の夏よ。
グラフの上の方にある赤い点よ。
ベタベタの空気を如何に除湿していくか、そこにエネルギーを使わざるを得ない水蒸気量です。
さて、最後に「比エンタルピー」。
これは、簡単に言っちゃえば、空気の中にどのくらいエネルギーが詰まってるかをあらわる値。
左側で右上がりに走ってる水色の線ですね。
冷暖房や除湿するのに、どのくらいエネルギーを使うとか計算できて、エアコンがどのくらいの容量が必要かなど、選定にも用いられます。
余談ですが、チャットGPTに聞いてみたら、
「リンゴ一つとバナナ一つのエネルギーを比べるのに比エンタルピーを使うと、リンゴ一つにどれくらいのエネルギーが入っているか、バナナ一つにどれくらいのエネルギーが入っているかがわかるんだよ。」
とか言ってて、訳が分からなくなりそうになりました。
前回に続いて、ざっと湿度について書いたけど、何となく大事っぽいってことだけ伝わったかな?
8月にも続きの講義があるから、その後にハラオチさせる為に続き書くかもですね。
ま、とにかくフランスのボルドーは、湿度環境がズルいって事だけ、持って帰って下さい。
今日はこれまで。
hiroyuki