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つくり手の言葉

全館空エアコン2台方式が多いのはナゼ?

秋ってこんな気候だったっけ?

今年は本当にピンと来ないですよね。

外で作業してると、まだTシャツでいいかな?と思うくらいの日差し。

12月から予報では落ち着きそうですが、信用できませんね。

さて、先日の見学会にて、相談者さんから面白い質問がありました。

「快適な生活空間を提案している工務店さんで、床下エアコンと屋根裏エアコンを採用しているケースが多い気がするのですが、1台で全館空調とかって、やはり無理なんですか?」

めちゃくちゃ本気で家造りを考えているのがよく分かる質問です。

ただ、暖かいという謳い文句や、Ua値などの数値だけに問われず、冷暖房方式というところまで踏み込んで比較されているのは、素晴らしいです。

確かに、近年、床下エアコンだけでなく、屋根裏エアコンも採用し、2台体制を敷いている冷暖房方式を見かける機会が増えました。

斯く言うオースタムも同様で、基本提案は、この仕様です。

25年前の蓄熱暖房機+屋根裏エアコンの時代を経て、屋根裏エアコン1台体制から、

屋根裏エアコン+リビング壁掛けエアコン、そして、屋根裏+床下のエアコン2台体制と変遷してきました。

この屋根裏+床下のエアコン設置、効率がとってもいいんです。

冷房の冷たい空気は比較的重いので、下に下がろうとします。

だから、そもそも高い位置にエアコンが設置されていると、下に送る工夫やエネルギーが小さくてすみます。

逆に暖房時のあたたまった空気は、比較的軽いので、上に上がろうとしてくれます。

だから、低い位置にエアコンが設置されていると、上に送る工夫やエネルギーが小さくてすみます。

更に、冷房時と暖房時では欲しい能力が微妙に違います。

地域によっては、冬季の室外機のデフロスト(霜取り)対策や、

夏季の除湿性能など、一つの機種でドンと行うよりも、フレキシブルな対応ができるという利点があります。

加えて、万が一どちらかのエアコンが故障した場合、多少性能や設置位置が違っても、一時的な代替使用が可能というのも、意外と馬鹿にできない理由です。

エアコンが故障する原因の多くが、冷媒漏れ。

これが起こるタイミングというのが、冷媒ガスが強い圧力がかかる、真夏や真冬です。

この時期に、エアコン故障が起こると、繁忙期ということもあり、メンテナンスに日数を要することも間々あります。

このときの予備としてもう一台を利用するというのも、あればこそできるものです。

と言った理由で、屋根裏+床下エアコンというのが、選定されやすいです。

だからと言って、屋根裏と床下にエアコン突っ込めばいい訳ではありません。

ここ数ヶ月、岐阜の鳳建設の森了介さんの元で、住宅の空調について基礎から学び直していますが、根本的な学理、そして施工、それぞれがしっかり合わさってこそ、想定した室内状況を作れるのだと、改めて納得させられます。

そもそも、これらの工法に公的なマニュアルなどありません。

何度もブログで書いていますが、現在に置いては建築主の要望として屋根裏、床下エアコン使用があって、多くの建築会社が、見様見真似だけで手を付け、その上で失敗するケースが頻発しています。

うまくバランスとるのって、そんな簡単じゃないんです。

これを1台のエアコンでやろうとすると、よりシビアな計算や選定やシステム構築が必要だし、そこをちゃんと提案できる設計者はほんの一握りではないでしょうか。

もちろん、ちゃんとやってくれる設計者がいればできます。

ただ、システムが複雑化しやすいので、エアコン2台でもそんなにコスト変わらないかもですね。

家全体からすれば、本当に小さな部分のエアコンという設備。

ただし、快適に暮らすためには、その選定、配置含めた計画が、断熱や気密と同じくらい重要性が高いです。

ここに気づかれている、相談者さんは流石だと思います。

知れば知るほど楽しい、空調設計。

今のバージョンもちょっとずつアップデートして行きますよ。

お楽しみに。

最後に、12月1日(日)の体感見学会ですが、13時〜が残り1枠空いてます。

もし、まだ迷っていらっしゃるのであれば、ぜひご予約くださいね。

hiroyuki

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