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つくり手の言葉
朝晩が涼しくなって、服選びもやっと自由度が増してきましたね。
試しに床下エアコンONにしてみたら、思った以上に室温が上がってしまい、もう少しオアズケという事になりました。
さて、毎年冬はやってくるのに、来てみるまで冬が寒いって忘れてしまうものです。
それでも、家づくりをされる方の多くに、ここ数年でHEAT20G2って、ワードが知れ渡って、ある意味トレンド化しています。
最近じゃどの建築会社のホームページを見ても「HEAT20 G2」って言葉があふれていて、一時期の「高気密・高断熱」ってワードと同種の扱いになってますね。
10年くらい前に、「高気密・高断熱」が言葉として流行った時期は、どの程度「高気密」で、どのくらい「高断熱」か全く説明なしに「高気密・高断熱」という言葉がだけが独り歩きし、痛い目を見た建築主さんも多かった事でしょう。
当時、数値基準を伝えることなく「高気密・高断熱」住宅と書いていた建築会社が山ほど。
気密測定だって、今ほどメジャーじゃなかったので施主さんが希望することなんてあり得ない。
弊社のように当時から高性能住宅を建てていると、引き渡されて1年くらい経ったご家族が、見学会に来場されることが結構ありました。
「建築会社に『あったかい家』と言われて建てちゃったけど、住んでみたら・・・比較してみてもいいですか・・・」
多くの場合、私たちにできる事は少なく、ご案内させて頂いた上で、肩を落とされて帰られるしかありません。
なんてひと昔前のことを思い出したのも、「HEAT20 G2(以下G2)」で同様のご相談があったから。
G2って書いてあれば暖かい思ってしまいますよね。
でも、そうとは限りません。
別に、G2レベルの断熱性能に意味がないと言っている訳じゃありません。
G2って書いてあるだけじゃ意味がないってことです。
まず、UA値という数値は、あくまでも机上の計算です。
このブログでも何度も書いている通り、使用する断熱材が、間違いない施工をなされてはじめて数値が担保されます。
更に、どれだけ断熱が良くたって、隙間が多くて室内の熱が屋外に逃げてしまうようでは、保温できません。
冷暖房機器の選定や配置によっては、うまく温めることも冷やすこともままならないでしょう。
家の中の空気が満遍なく動くように循環させなければ、場所ごとによって大きな温度差が生まれてしまします。
断熱性能を生かすために、その他の設計計画や施工精度があってこそ、温度差の少ない、夏も冬も快適に感じられる住まいにすることができるのです。
最近、深堀りする勉強会に参加しているので、今まで以上にその重要性を感じます。
ちなみに、そもそもHEAT20の公式設計ガイドブックには、断熱についての内容はもちろん、気密性能、開口部(サッシ)、壁体内結露、光環境などについても触れ、ながく快適に住まえる住宅の指標としています。
つまり、暮らしやすい住宅というのは、断熱のみで決まらないという事です。
「HEAT20 G2」を推奨する建築会社が増えることで、日本の住宅性能が高まることは、社会的にとても良いことです。
しかし、実態が伴わず客寄せとしてしか使われない言葉であれば、それは弊害でしかありません。
いつも言ってるじゃないですか。
頼んでも気密測定すらできない建築会社に、快適な住まいを求めちゃいけません。
そもそも得意じゃないんですから。
暖かく涼しい暮らしをしたいのであれば、普段からそこに注力している建築会社に。
デザインが最優先であれば、全棟美しい設計をする建築会社に。
急いでいるのであれば、プレファブリックが得意な建築会社に。
価格優先であれば、大量生産ができる体制を有している建築会社に。
普段からやり続けている事こそが、最も精度が高く仕上げられるもの。
ご自身が最も求める暮らし方と、それが得意な建築会社のマッチングが上手くいけば、素敵な住まいになります。
得意分野が違う建築会社に、無理に依頼してしまうから、お互い不幸なことになります。
残念ながら多くの住宅営業さんは、成績が欲しいと「できます!!」って言っちゃうんでしょうけど。
ここから、体感がものをいう季節になります。
是非、建築会社さんの実際に人が住んでいる家を見せてもらって、冬の暮らしを体感してください。
候補の複数建築会社の比較、楽しいですよ。
あ、そういえば、12月1日(日)に、わたしの自宅の体感見学会開催します。
その頃には外構もリニューアルして、素敵になってるかも。
追って詳細は、ホームページにあげますね。
あたたかい家だと、外が寒くなるのが楽しみになるなぁ。
hiroyuki