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つくり手の言葉

え?まだエアコンを家電だと思ってるの!?

今年は日差しがまだまだ痛いですね。

空気はひんやりしてきているのに、まだまだ長袖に腕を通すのに勇気がいります。

それでも、外気は気持ちのいい温湿度。

年々短くなる冷房も暖房もいらない「窓を開けて過ごせる季節」です。

きっと一気に暖房の季節がやってくるんでしょうけどね。

さて今日は、この季節お休みしているエアコンについて。

早速皆さんに問題です。

「エアコンは、家電ですか?」

「家電量販店に売ってるんだから、家電に決まってる!」と思う方もいれば、

「こんな質問するんだから、家電じゃないって言うんだろ?」と言う捻くれ者もいるかもしれません。

もちろん、分類の仕方は色々あります。

でも、私はエアコンは家電ではないと考えています。

では、まず家電とは何か、イメージしてみましょう。

ご自身のお宅にはどんな家電がありますか?

電子レンジ、炊飯器、トースター、電気ポット、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、レコーダー、電気シェーバー、電動歯ブラシ・・・

ほんとうに沢山の家電に囲まれて暮らしていますよね。

さて、これら家電の共通の特徴とは何でしょうか?

それは、コンセントを刺せば、誰が使っても、同じ性能を出せるという事。

例えば、電子レンジ。

隣の家と同じ機種を使っていたとして、同じ冷凍食品を同じ500Wで加熱したら、出来上がりはほぼ同じです。

コッチの家だけ温めるのに倍の時間がかかっていたら、故障ですよね。

例えば、冷蔵庫。

同じ設定温度にしていれば、その温度になります。

それが家電の基本です。

誰が使っても、性能差が出ない。

では、エアコンは?

「エアコンで暖房する」と聞いた時に、暖まらないイメージがある方と、全館空調的に家中暖かい暮らしをイメージする方がいます。

正反対のイメージです。

これは、

「どんな地域の、どんな性能の家の、どんな場所に、どんな目的で、どんな機種をつけるか?」

によって、出せる性能が変わってしまう事による違いです。

例えば、寒冷地で一般地域用の安いエアコンで暖房すれば、霜取り運転ばかりにエネルギーを使用し、室内に温風を送ることができません。

逆に、寒冷地用のエアコンを使用すれば、外気がマイナス10℃になろうとも40℃の温風を送り続けることが可能です。

もちろん、建物の気密・断熱性能、設置位置、各部屋に付けるのか、全館空調とするのか、その設置目的と環境によって、同じ機種を設置しても、発揮できる性能は大いに異なります。

つまり、エアコンは、住宅や設備のプロフェッショナルが、

「どんな地域の、どんな性能の家の、どんな場所に、どんな目的で、どんな機種をつけるか?」

を選定する必要がある機械です。

同種のものとして、給湯器なんかはイメージしやすいですよね。

その家で、何人暮らして、どのような用途でお湯を使うか?によって、プロが機種を判断します。

キッチンやトイレ、太陽光発電やも実は一緒です。

配管や水圧などの状況を確認した上で、設置可能な機種を選定します。

こういった、プロが選定に関わる必要がある住宅に関わる設備を何と言うか。

「住宅設備機器」と言います。

エアコンは本来、住宅のプロが選定するべき「住宅設備機器」です。

家電量販店で、販売するべきものではないのです。

家電量販店の店員さんは、その機種と販売のプロではあっても、設置環境のプロではありません。

「20畳のLDKにエアコン設置したいのですが、どれがいいですか?」と質問しようものなら、

「こちらの20畳用のエアコンがお値打ちです。なぜならば・・・」とスマートに回答してくれるでしょう。

でも、「建物の断熱性能はどのくらいですか?」とか、聞かれないですよね。

40年も前に設定された、無断熱住宅向けの畳数設定で、必要以上の大容量の提案をされることも今は多いでしょう。

だから、「家電」ではないのです。

住宅だけ設計して、「エアコンは家電量販店が安いから、畳数に合わせて後からつけてください。」なんて言ってる建築会社があったら、叱ってあげてください。

それは、給湯器を「好きなの勝手に選んでください。」って言ってるのと変わりません。

エアコンは家電じゃない!

ちゃんと住宅のプロが選定をした上で購入を検討するべき!

ってのが、しっかり認知されて欲しいものです。

hiroyuki

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