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つくり手の言葉
今年は、ちゃんと秋を感じられる日が続きますね。
昨年は「秋がないんじゃないか」と思うような年だったので、今年も少し恐れていました。でも、9月後半らしい気候になって、季節のありがたみを感じています。
自宅のエアコンも、冷房モードから秋モードへ。外の気温や湿度に合わせて、冷房と送風を切り替えています。
「エアコン、止めないの?」と思った方。さすが、よく気がつきました。
冷房中のエアコン内部は、結露で濡れています。濡れたままにすると、カビが生えやすい状態に。冷房をつけたり止めたりする中間期は、特に気になるところです。
我が家では冷房後に送風を続け、冷房を使わなくなる時期には暖房運転で内部を乾かしています。送風だけで確実に乾くとは限らないので、内部クリーン機能が付いている機種なら、その機能を使うのもよいですね。
さて、気候のよい季節を過ぎて冬モードになる前に、家づくりにおける「夏の性能」について書いておこうと思います。
冬になると、どうしても寒さ対策に目が向きますからね。
高気密・高断熱の家で、夏の湿度が下がりにくい。そんな相談を耳にすることがあります。
冬、暖かく暮らすために、気密・断熱性能を高める。これは大切な基本です。同時に、夏には夏の空調設計が必要になります。
断熱性能の高い家は、冷房で室温が下がると、その温度を保ちやすくなります。一方で、室温が設定値に達してエアコンの冷やす力が弱まると、機種や運転条件によっては除湿量も減ります。
その結果、温度は低いのに、なんだかベタつく。梅雨のような空気になることがあるのです。
なぜでしょうか。
エアコンの冷房には、空気を冷やす働きと、空気中の水分を取り除く働きがあります。室内機の熱交換器を冷媒で冷やし、そこに室内の空気を通す。空気が冷えると熱交換器の表面に水滴が付き、その水をドレン配管から屋外へ排出します。これが冷房中の除湿です。
ですから、室温だけを目標にエアコンを動かしても、湿度まで思いどおりになるとは限りません。特に外がそれほど暑くないのに湿気が多い日は、冷やす必要が小さく、除湿が難しくなりがちです。
室内の湿度を考えるときは、「どこから湿気が入り、どう排出するか」をセットで見ます。
例えば、第3種換気では、排気した分の外気が給気口などから入ってきます。夏の外気に多くの水分が含まれていれば、その分を室内で除湿する必要があります。
一方、全熱交換型の第1種換気では、夏に室内へ入る湿気を減らせます。その分、室内の湿度も管理しやすくなります。
外壁のつくりも関係します。
最近は、壁内の湿気を逃がすため、室内側に「可変透湿気密シート」を使う設計があります。このシートは一般に、冬は室内の湿気が壁内へ入りにくくなる方向に働き、夏は壁内の湿気を室内側へ乾かしやすくすることを狙った材料です。雨水を防ぐ外壁側の透湿防水シートとは、役割も設置場所も違います。
夏に壁内の湿気を室内側へ乾かす設計なら、その水分も含めて室内の湿度を管理する必要があります。ただし、シートを使っただけで大量の湿気が必ず室内へ流れ込むわけではありません。外壁や断熱材の構成、気密の取り方、地域の気候によって結果は変わります。
素材そのものの良し悪しではなく、壁全体と空調をどう組み合わせるか。そこが大事なんです。
「湿気が気になったら、市販の除湿器を置いてください」
すき間の多い既存の住宅なら、置き型の除湿器で補うのも現実的です。でも、全館の空調を計画している高性能住宅で「湿気が気になったら除湿器を置いてください」は、私は違うと思います。それでは、夏の湿度まで含めた空調計画とは言えません。
必要な除湿量に合う機器なのか。どこに置くのか。たまった水は誰が、どのくらいの頻度で捨てるのか。連続排水はできるのか。電気代や運転音はどうか。
もちろん、除湿器そのものが悪いわけではありません。必要な能力や排水方法まで最初から設計に組み込んでいるなら、それも一つの方法です。問題は、住み始めてからの湿度管理を、お客様が置き型の機器で何とかする前提にしてしまうことです。
エアコンの排水量も、日によっては数リットルから10リットル程度になることがあります。実際の量は天候や運転条件で大きく変わりますが、水分を外へ出す仕組みを住まい全体で考える必要があるのは確かです。
かといって、除湿のために冷房の設定温度を下げるだけでは、室内が寒くなってしまうこともあります。空調って、ムズカシイですね。
外から入り込む湿気を抑える。壁の中の湿気を安全に乾かす。そして、室内に入った水分を無理なく排出する。このバランスを、換気・外皮・空調を合わせて考えることが大切です。
だから、冬の家づくりでも、こんな質問をしてみてください。
「夏の湿度対策は、どう考えていますか?」
その答えを聞くと、冬の暖かさだけでなく、夏の暮らしまで設計しているかが見えてくると思います。
オースタムは、栃木県宇都宮市を中心に、高気密・高断熱だけでなく、湿度や空気の流れも含めて住まいを考えています。設計・計算・施工まで一貫して取り組む工務店です。